(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産投資を行う上で、固定資産税は毎年必ず発生する経費の一つになります。しかし、その計算方法は土地と建物で異なり、さらに様々な軽減税率が存在するため、多くの投資家を悩ませています。そこで本コラムでは、固定資産税の基本的な概念から計算方法、不動産投資における固定資産税の軽減措置などについて解説します。物件価格別に固定資産税のシミュレーションも行いますので、固定資産税を理解して不動産投資の収益性を最大化しましょう。

不動産投資における固定資産税の軽減措置

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(画像:PIXTA)

 

固定資産税には軽減措置があり、以下のような措置を理解することで税制優遇を最大限活用することができます。

 

・新築住宅における固定資産税の減額措置

・住宅用地の特例措置

 

新築住宅における固定資産税の減額措置

新築住宅に係る税額の軽減措置は、2024年3月31日までに新しく建てた住宅に適用される特例措置でしたが、2024年度の税制改正によって対象期間が2026年3月31日まで2年間延長されました。一定の条件を満たして、この特例措置が適用されると、固定資産税が減額されます。例えば、床面積が50~280㎡の新築住宅の場合、建物の階数や耐火性能によって異なりますが、建築後3年から5年間に渡り、居住部分の床面積120㎡を限度に税額が2分の1に減額されます。

 

この措置は投資用物件であっても適用可能なので、初期の運用コストを抑える効果があります。また、新築マンションが長期優良住宅と認定された場合は、固定資産税の特例措置が2年間延長され、建築されてから7年間軽減措置を受けることができます。

 

適用にはいくつかの条件があるため、投資前に詳細に確認することが重要です。

 

住宅用地の特例措置

住宅用地の特例措置とは、住宅用地に対する固定資産税の課税標準額を減額する特例で、小規模住宅用地と一般住宅用地によって割合が異なります。

 

小規模住宅用地の特例とは小規模な住宅用地について、固定資産税や都市計画税の課税を軽減する措置を指します。この特例は不動産の貸付事業に使用する土地も対象となるため、投資用物件にも適用可能です。特例が適用された場合、以下のような軽減が受けられます。

 

・小規模住宅用地(住戸1戸につき200㎡以下の部分):固定資産税評価額の1/6

・一般住宅用地(小規模住宅用地以外・200㎡を超える部分):固定資産税評価額の1/3

 

なお、この小規模住宅用地の特例措置は土地だけへの適用となり、建物には適用されないため注意しましょう。

不動産投資の固定資産税の計算方法

不動産投資の固定資産税は以下のステップで計算します。

 

■STEP1:固定資産税評価額の算出

土地:路線価方式や倍率方式で算出

建物:再建築価格を基に経年減点補正率を適用して算出

 

■STEP2:課税標準額の決定

固定資産税評価額から各種特例措置による軽減額を差し引いて算出

 

■STEP3:税額の計算

課税標準額×税率(標準1.4%)=固定資産税額

 

※土地は公示価格の7割、建物は購入価格の7割が目安

※実際の不動産、土地の売買価格と課税標準額には乖離がある

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