新規マンション価格の上昇がとまりません。この価格高騰をけん引するのが、増え続ける高層マンション、いわゆるタワマンです。その利便性から、最近では高齢者からも人気だとか。しかしタワマンに内包する課題から、今後はタワマンを避ける人が増えるかもしれないといいます。みていきましょう。
浅はかでした…〈年金2人で月32万円〉タワマンに住む70代夫婦、高層階から街を望む「贅沢な老後」を悔やむことになったワケ (写真はイメージです/PIXTA)

高齢で戸建ての維持は難しい…選択したのは駅前のタワーマンションだった

地方在住の石川博さん(仮名・75歳)由美子さん(仮名・74歳)夫婦。現在の住まいは、駅前に建つタワーマンションの14階。周囲には目立った高い建物がないため、ずいぶんと遠くまで見渡すことができます。

 

このタワーマンションに入居したのは、仕事を辞めるのと同時に年金を受け取り始めた10年前のこと。今後の生活について考えるなか、住まいをどうするかという問題にぶつかりました。それまで住んでいたのは、30代のときに建てた一戸建て。元気な現役世代用に作られた家は、今後、足腰が一層弱くなるであろう高齢者には不向き。安心して住み続けるには、バリアフリー工事は必須でした。

 

さらに地方の一戸建てにありがちな広い庭。このあたりは冬になれば大雪が降り、除雪も大変です。屋根の雪下ろしは、まさに命がけ。考えれば考えるほど、既存の一戸建ての暮らしは限界だと考えるようになったのです。

 

結論として選択したのは、集合住宅への住み替えでした。そして住み替えで目を付けたのが、当時、駅前に建設中で、大々的にPRしていた現在の住まいであるタワーマンションだったのです。

 

【高齢者の住み替え意向

60~64歳:40.9%

65~69歳:35.7%

70~74歳:31.3%

75~79歳:27.4%

80~84歳:21.9%

85歳以上:18.4%

*「ある」と「現時点ではその意向はないが、状況次第で将来的には検討したい」の合計

【住み替え意向の理由・ベスト5】

1位「健康・体力面で不安を感じるようになった」…24.8%

2位「自身の住宅が住みづらいと感じるようになった」…18.9%

3位「自然豊かな環境で暮らしたいと思った」…10.3%

4位「買い物が不便になったから」…10.2%

5位「交通の便が悪くなったから」…9.8%

出所:内閣府『令和6版 高齢社会白書』