老後の生活を安心して送れるよう、現役時代から資産を増やしておくことは大切です。しかし、資産を増やすこと自体が目的になってしまう人も少なくありません。今回は、都内で年金生活を送る田中さん(仮名・75歳)の事例と共に、お金との向き合い方について小川洋平FPが詳しく解説します。

(※写真はイメージです/PIXTA)
私、お金が使えないんです…資産1億円・年金月23万円・住宅ローン完済で“あり余る資産”を持つ75歳男性。老後不安とは無縁に見えるが「周囲に理解されない深刻な悩み」に苛まれるワケ【CFPの助言】
お金を使えない心理とは?「老後の不安」から抜け出せないワケ
田中さんのように、老後資金が十分にあるにもかかわらず、お金を使うことに抵抗を感じる高齢者は少なくありません。それは「いつまで生きるかわからない」という不安や、「もったいない」という感覚があるためです。
老後のお金の使い方は現役時代の延長線上にあります。現役時代の生活習慣がほとんどそのまま老後になっても継続し、お金の使い方もそれに付随しやすいのです。
そのため、現役のころに人付き合いが多かった営業職や経営者層は、リタイアしてもその生活スタイルが残り収入を大きく超える支出を続けてしまうことがあります。逆に、コツコツと堅実に貯蓄を続けてきた人は、田中さんのようにお金を使うことに罪悪感を覚えてしまうことも少なくありません。
本来、お金は「生活を豊かにするための手段」であるべきですが、長年にわたって貯蓄を続けていると、「貯めること」自体が目的になってしまい、預金残高が減ることにストレスを感じてしまうことがあります。
では、お金を使うことへの不安を取り除くには、どうしたらよいのでしょうか?