国税庁「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者のわずか5.5%しかいないとされる「年収1,000万円プレイヤー」。多くのビジネスマンにとって、「年収1,000万円」というのは憧れの数字です。高級車を乗り回し、豪邸に住み、さぞかし豪遊しているのだろう……と思いきや、高収入ならではの“落とし穴”があると、ファイナンシャルプランナーの愛染興希氏はいいます。40代サラリーマンの事例をもとに、本記事で詳しくみていきましょう。
日本の上位5%がこのレベルだと!?…年収700万円の43歳サラリーマン、ヘッドハンティングで「年収1,000万円台」到達に歓喜→給与明細を“思わず二度見した”ワケ【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

“特殊なケース”ではない…「急な収入増」がもたらす破産の危険性

佐藤さんのような失敗を防ぐためには、支出を考える際に「額面」ではなく「手取り」を基準に考えることが重要です。そのうえで、下記の3点に注意するとよいでしょう。

 

□税金・社会保険のシミュレーションを行う

□収入が増えても、固定費をむやみに上げない

□増えた分の収入は「貯蓄・投資」に回す

 

「年収1,000万円=裕福な暮らしができる」ということではありません。むしろ、きちんと管理しないと気づいたときには「お金がない!」という落とし穴にハマる危険性があります。

 

佐藤さんのように「え、たったこれだけ!?」と絶望しないための準備ができていますか?

 

浮かれすぎは禁物、貯金と生活のバランスを!

佐藤さんは、給与明細を見たことで夢から醒め、家計を見直すことにしました。毎週のように行っていた高級レストランでの外食を辞め、勢いで購入してしまった高級時計は名残惜しいですが手放すことを検討します。こうして無駄な支出を抑えて浮いたお金は、貯蓄に回すことに決めました。

 

憧れの高級品を身に着けるなど、お金を使うのが楽しいのは事実です。しかし、使う前に「これは本当に必要な出費?」と自問自答してみましょう。

 

正直なところ、急激な収入の増加は「成功した自分へのご褒美」などと理由をつけて、その後ライフスタイル・インフレーションに陥るというケースが少なくありません。一見「当たり前」だと思うかもしれませんが、収入が増加したときほどその後の家計管理がカギとなります。

 

佐藤さんのような事態に陥る前に、少しだけ冷静になってみてくださいね。

 

 

愛染 興希

ファイナンシャルプランナー