(※写真はイメージです/PIXTA)

空き家を放置すると、不動産という資産を眠らせてしまうだけでなく、固定資産税の支払いなどのコストが生じてしまいます。また、場合によっては罰金や強制収去などの罰則を受ける可能性があります。そこで本コラムでは、空き家はなぜ活用したほうがいいのか、具体的な活用方法、活用時の注意点などを詳しく解説します。

空き家活用のアイデア12選

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空き家の活用方法は、土地の特性や地域のニーズによって様々な選択肢があります。ここでは代表的な活用方法を紹介しますが、いずれの方法も、事前に市場調査や収支計算を行い、長期的な視点で検討することが重要です。

 

駐車場投資

駐車場として活用する方法は、特に都市部や駅周辺で有効な選択肢となります。初期投資として舗装工事や区画線の設置、精算機の導入などが必要ですが、その後の維持管理は比較的容易です。

 

月極駐車場の場合、毎月一定程度の固定収入が見込め、コインパーキングの場合には立地によってさらに高い収益を期待できます。ただし、周辺の駐車場需要や競合状況を十分に調査する必要があります。

 

太陽光発電投資

土地に太陽光発電パネルを設置し、電力を電力会社に売却することで利益を得る方法です。土地の広さや日照条件が重要な要素となりますが、適切な条件が揃えば、安定した売電収入を得ることができます。

 

ただし、初期投資額が大きく、パネルの設置や系統連系の工事費用、維持管理費用なども考慮する必要があります。また、地域の電力会社との協議や近隣住民への配慮も重要です。

 

戸建て賃貸

空き家を建て直し、戸建て住宅として賃貸活用する方法です。現在の建物を活用するよりも賃料を高く設定できるほか、耐用年数が長くなるため、長期的な資産形成という観点からも有効な選択肢となります。

 

戸建て住宅の建築費用は2,000万円から3,000万円程度が一般的ですが、土地の立地や建物の仕様によって大きく変動します。また、定期的なメンテナンスや設備の更新なども必要となるため、長期的な資金計画が必要です。

 

アパート経営

ある程度土地が広く、資金にも余裕があれば、アパートに建て替えて貸し出すこともおすすめです。土地の規模や形状によって建設可能な戸数が変わりますが、一般的な木造アパートでは4戸から8戸程度の規模が多くみられます。

 

建築費用は1億円程度であり、多くの場合にはアパートローンを利用することとなるため、周辺の賃貸需要や家賃相場、競合物件の状況など、綿密な調査と収支シミュレーションを行う必要があります。

 

また、長期的な収益を確保するためには、管理会社との連携や定期的な修繕計画の策定など、計画的な運営が求められます。

 

シェアハウス

建物をリノベーション・建て替えたうえで、シェアハウスとして貸し出すという方法もあります。

 

シェアハウスではひとつの建物を複数の賃借人に貸し出せるため、エリアによっては、一軒家を貸し出すよりも高い収益率と稼働率を期待できます。特に、大学や企業が集中する地域では、学生や若手社会人からの需要が見込めます。

 

運営を専門業者に委託することで、入居者の募集や建物の管理、トラブル対応などを任せることも可能です。

 

賃貸併用住宅

ある程度土地が広い場合や、初期費用に余裕がある場合には、賃貸併用住宅とするのもおすすめです。賃貸併用住宅とは、自宅と賃貸物件を併用した建物のことで、例えば1階を自宅2階と3階を賃貸物件とするような物件を指します。

 

自宅として利用しながら賃貸収入を得ることができ、その収入をローンの返済に充てられるため、実質的な住宅取得コストを抑えることができます。また、自宅部分が50%を超える場合には住宅ローンを利用できるため、金利負担を軽減できるのも魅力のひとつです。

 

ただし、賃貸併用住宅では入居者のトラブル対応や、プライバシーの確保などの問題が発生しやすいなどのデメリットもあるため、慎重な検討が必要となります。賃貸併用住宅のメリットやデメリットについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

 

【関連記事】賃貸併用住宅のメリットとは?「やめとけ・危険」と言われる理由も解説

 

宿泊施設・民泊施設

都市部や観光地近郊に土地がある場合には、宿泊施設・民泊施設として活用する方法もあります。この場合、住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく登録や、旅館業法の許可取得が必要となりますが、一般的な賃貸よりも高い収益性を期待できます。

 

運営は専門の管理会社に委託することもでき、予約管理やクリーニング、メンテナンスなどのサービスを包括的に依頼することができます。ただし、近隣住民への配慮や、地域の観光需要の変動なども考慮する必要があります。

 

店舗貸し

建物を店舗やオフィス物件として活用することで、立地によっては賃貸住宅よりも安定した賃料収入が期待できます。特に駅前や幹線道路沿いなど、商業地域に近い立地であれば、飲食店や物販店、サービス業などの事業者からの需要が見込めます。

 

この場合は、建築基準法や都市計画法による用途制限に注意が必要です。また、防火基準や駐車場の確保など、住宅とは異なる建築要件が求められる場合もあります。用途地域の種類や、それぞれの特徴については、こちらの記事で詳しく解説しています。

 

【関連記事】都市計画法の用途地域とは?13種類の一覧・特徴と制限をわかりやすく解説

 

介護施設

建物をグループホームやデイケア施設にリノベーションし、事業者に貸し出すことで、長期的な賃料収入を見込むことができます。

 

既存の建物をリノベーションする場合は、バリアフリー化や消防設備の設置など、介護施設としての基準を満たす改修が必要です。施設の規模や間取りによって必要な改修費用は異なりますが、数千万円程度の投資が必要となる場合もあるため、慎重な資金計画が必要です。

 

コインランドリー投資・無人自動販売投資

コインランドリーや無人自動販売機の設置は、人手をかけずに収益を上げられる活用方法です。立地条件や競合店の有無、周辺の住民層などを綿密に調査することで、安定した収益を期待することができます。

 

コインランドリーの場合、洗濯機や乾燥機の設置費用、給排水設備の工事費用などの初期投資が必要ですが、その後は比較的少ない手間で運営が可能です。

 

トランクルーム投資

トランクルーム投資は、特に都市部での需要が高く、比較的安定した収益を期待できる投資方法です。建物を区分けして収納スペースとして貸し出す方法のほか、土地の上にコンテナを設置して貸し出す方法もあります。

 

防犯カメラや施錠システムなどのセキュリティ設備の設置が必要となりますが、入居者の入れ替わりが少なく、家賃の滞納リスクも低いため、管理面での負担も比較的小さくなります。ただし、競合施設の状況や需要の見込みは慎重に検討する必要があります。

 

コインランドリー投資やトランクルーム投資など、土地を活用する方法の種類やメリット・デメリットについては、こちらの記事でも詳しく紹介しています。

 

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貸し地

空き家を解体して貸し地として活用する方法です。建物の解体費用以外の初期投資が少なく済むメリットがある一方で、近年は土地を借りて建物を建てるケースが減少しており、需要は限定的です。

 

また、借地権が発生することで、将来の売却や活用の際に制限が生じる可能性もあるほか、固定資産税などの諸経費を考慮すると収益性は必ずしも高いとはいえず、積極的におすすめできる方法ではありません。

 

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