現在、日本の大学進学率は約57.7%で過去最高となるなか、なんらかの奨学金を利用している大学生の割合は約55.0%と、こちらも過去最高となっています(文部科学省「令和5年度学校基本統計」より)。そこで今回、具体的な事例を通じて、教育費の工面に苦労する家庭を救う“救済制度”をみていきましょう。2人の子どもを私立中学に通わせる石川亜希子AFPが解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
手取り月48万円も、職場には毎日お弁当と水筒を持参…3人の子をもつ40代共働き夫婦、もうすぐ始まる“日本の救済制度”に「手をあわせて拝みたい」【FPが解説】
奨学金利用時の注意点
ただし、貸与型奨学金の場合、それが「借金」であることを忘れてはなりません。
たとえば、有利子の奨学金を月8万円で4年間受給するということは、総額384万円+利息を抱えて新社会人になるということです。社会人になってから数十年にわたって返済し続けることにもなりかねず、その後の人生設計に影響を与えることになってしまいます。安易に奨学金を利用することは避けたほうがいいでしょう。
この点JASSOでは、企業が奨学金を借りた人に代わって代理で返還する「企業等の奨学金返還支援制度」を令和3(2021)年に設けました。令和6(2024)年10月末時点で、全国2,587社が利用しています。
また、東京都でも「中小企業人材確保のための奨学金返還支援事業」として、従業員の奨学金を代理返還する制度があり、奨学金を借りた人物の負担を減らすこうした制度も広がりつつあります。
A夫婦はこうした公的な教育費支援・減免制度を知り、漠然としていた不安が少し落ち着いたように思えました。自分たち夫婦が節約していることを、大々的に子どもたちに伝えているわけではありません。しかし、子どもたちはA家が決して裕福ではないことをわかっていて、気を遣っている様子がうかがえます。
「3人の子どもたち全員が、行きたい学校に通えますように」
今日も職場にお弁当と水筒を持参しながら、A夫婦は思いを新たにしました。
石川 亜希子
AFP
