義母が用意していた「天国からの贈り物」

家族葬で義母を見送り、2週間ほど経ったある日のこと。ゆかりさんから友晴さんあてに、実家に来るよう連絡が入りました。みさ子さんも夫に連れられて実家へ向かいましたが、居間で待ち構えていたゆかりさんは、みさ子さんに向かって次のように言いました。

「あら? アナタは呼んでないわよ?……しょうがないわね、2階にあがってお母さんの遺品整理でもしといてよ。これから、友晴と2人で話があるから」

友晴さんが「遺産の話だろ? それなら、みさ子にも同席してもらおうよ」というと、ゆかりさんは「あの子は関係ないでしょ。他人なんだから、遺産はもらえないの」と冷たく突き放します。

「仕事を辞めてまで、お義母さんの世話をしてきたのは私なのに……」

みさ子さんは悔しい気持ちでいっぱいでしたが、なにも言い返すことができません。

泣きながら遺品整理をしていると、しばらくして階下からみさ子さんを呼ぶ夫の声がします。

「みさ子すまん、ちょっと来てくれ!」

慌てて居間へ下りてみると、1枚の紙を睨みつけるゆかりさんが目に入りました。そして、友晴さんは言いました。

母さんの生命保険証券が見つかったんだ。受取人はみさ子、お前の名前になっているよ!

友晴さんによると、200万円の保険金の受取人がみさ子さんになっているというのです。義母が生前、みさ子さんの献身的な介護に対する感謝の気持ちを遺してくれていたのでした。

さらに、「それとな、遺言書もあって」と友晴さんが見せてくれた遺言書には、「財産のすべてを友晴に相続させる」と書いてありました。

「お義母さんは、ちゃんと見ていてくれたんだ……」みさ子さんが感謝の気持ちで目を潤ませる一方、「大金が手に入る」ともくろんでいた義姉は意気消沈の様子でした。