どんなに介護や看護に貢献していたとしても、通常「相続人の子の嫁」に遺産相続権はありません。井上みさ子さん(仮名)も、そのうちの1人です。みさ子さんは義母への献身的な介護を続けていたものの、自己中心的な義姉に疲弊しているようで……。FPの山﨑裕佳子氏が具体的な事例をもとに「相続人の子の嫁」に起きがちな相続トラブルとその解決方法について解説します。
あら、アナタまだいたの?…59歳“バリキャリ小姑”の嫌味に耐える55歳専業主婦、4年間の介護の末看取った義母の“天国からの贈り物”に号泣→小姑“ブチ切れ”のワケ【FPが解説】
専業主婦を見下す4歳年上の“バリキャリ小姑”
井上みさ子さん(仮名・55歳)は短大を卒業後、地方銀行に就職しました。
そして27歳のとき、職場の先輩だった2つ年上の友晴(仮名)さんと結婚。その当時は「職場結婚をした場合、妻となった女性が会社を辞める」という慣例があったことから、みさ子さんは不本意ながら結婚を機に地方銀行を退職。その後ほどなくして妊娠が判明し、双子を出産後しばらくは子育てに専念しました。
なるべく早く仕事を再開したいと思っていたものの、気がつけば仕事をしていた期間を専業主婦歴が上回るように。しかし、幸いにも夫は人並み以上の収入があったため、暮らしに困ることはありませんでした。
車で30分の距離にある夫の実家とも関係は良好で、子育てが大変な時期は義母がよく手伝いに来てくれました。
反対に、義父が他界したあとはその恩返しになればと、みさ子さんは月に1度は実家へ顔を出し、1人暮らしとなった義母と食卓をともにしていたそうです。
このように、家族仲も良好なみさ子さんですが、唯一苦手意識を持つ親戚がいます。それが、義姉のゆかりさん(仮名)です。ゆかりさんはいわゆる“バリキャリ”で、仕事には熱心な一方、思ったことをすぐに口にする性格。昔から会うたびに「長いこと社会に出ていないみさ子さんにはわからないでしょうけど」などと、専業主婦のみさ子さんを見下すような発言を繰り返していました。
みさ子さんは、そんなゆかりさんが苦手です。そのため、だんだんと冠婚葬祭など必要最低限の付き合いしかしなくなりました。
ゆかりさんはあまり実家に顔を出すこともなかったことから、普段の生活に支障はありませんでしたが、状況が一変します。ゆかりさんが離婚し、実家に戻ってきたのです。
みさ子さんは「娘さんが帰ってきたのなら、お義母さんもいくらか安心ね」と思いましたが、実情は異なりました。義姉は仕事が忙しいことを理由に、家事の一切を義母に任せきりにしたのです。
「1人暮らしのほうがよっぽど楽だわ。なにが悲しくて50過ぎの娘の世話をしなくちゃならないのよ」
義母は、みさ子さんによくこぼしていたそうです。