お金かやりがいか?

石田さんは、長年勤めた会社に恩義を感じ、働きがいも感じています。たとえ年金が減額されても働き続けるべきか悩み、苦楽を共にした妻に相談しました。すると、返答はこうでした。

「たとえ年金が減ったとしても、今の仕事にやりがいを感じるのであれば、このまま働き続ければいいと思うわ。あなたのこれまでの経験を活かせば、後輩の育成や会社への貢献にもつながるでしょう。それに、厚生年金を払い続けるのだから、将来受給する厚生年金も増えるはずよ。幸い、私も会社員として働き続けてきたから、私自身の厚生年金もあるしね。今後のお金の不安を解消するために、知り合いのFPさんに一緒に相談しに行きましょう」

妻の言葉を受け、石田さんは「やはり働き続けよう」と、決意。65歳を過ぎた今も前向きに働いています。

「年金の減額」と「仕事のやりがい・収入の安定」を天秤にかけたとき、「この会社でまだ働きたい」と強く思うのであれば、年金の減額を気にせずに働き続けるのも一つの選択肢です。

一方で「そろそろ自分の時間を大切にしたい」「負担を減らしたい」と思うのであれば、給与を調整する、または退職してフリーランスとして働くといったように、今後の働き方を検討するといいでしょう。

お金は、安心した生活を送るための基盤となります。それと同時に、働く目的や人生の充実度も、生きがいとして重要な要素です。制度について正しく理解した上で、最も納得できる道はどれなのかを、ご自身のライフプランに即して考えることが大変重要です。

南 真理 ファイナンシャル・プランナー