相続が発生した際、税務署からの通知が届いたら多くの人は戸惑うでしょう。特に、生命保険金は非課税と思われがちですが、実際には一定の条件と計算式に基づいて課税対象となるケースがあります。具体的にどのようなケースでしょうか? 本記事では、Aさんの事例ともに生命保険金と相続税の関係について、よくある勘違いと注意点をオフィスツクル代表の内田英子氏が詳しく解説していきます。
(※写真はイメージです/THE GOLD 60編集部)
92歳母を看取りホッとひと息ついた「年金生活・70歳独身長女」に税務署から不意打ちの手紙が届いたワケ…発端は“死亡保険金1,500万円”に関する保険代理店の「超曖昧な説明」【FPが警鐘】
税務署から送られてきた封書と重大な勘違い
70歳になるAさんは地方都市にマンションを保有し、おひとりで年金生活を送っています。Aさんは先だって、地方で離れて暮らしていた母を見送りました。同じく離れて暮らす弟と一緒に、葬儀とひととおりの手続きを終え、家の片付けが落ち着いてきたころ、Aさんは税務署から送られてきたある封書を受け取ります。
封書を開け、中を確認すると、入っていたのは「相続税の申告等についてのご案内」と書かれた手紙と数枚の書類。内容に目を通してみると、どうやら母親の相続が発生したことは把握されているらしく、相続税の申告が必要かどうか確認するように、といったことが書かれていました。そのうえ申告が不要な場合も、同封の「相続税の申告要否検討表」に記入して提出するように指示があります。
当然、相続税の申告は必要ないと思いこんでいたAさんは、「相続税の申告要否検針票」に軽い気持ちで目を通していきます。しかし、生命保険金についての記入欄にさしかかったところで、Aさんは慌てました。
「もしかしたら相続税がかかるのでは……?」
税務署で告げられた驚愕事実
Aさんは重大な勘違いに気がつきました。Aさんはそのことを確認しようと、最寄りの税務署に相談にいきました。すると、驚愕の事実が判明します。残り数ヵ月以内に相続税の申告が必要であり、約110万円の相続税が発生する可能性があるとの指摘を受けたのです。
「110万円も税金がかかるの!?」思ってもみなかった結果に、Aさんはしばらく動けなくなりました。