
3.ランドセル色の多様化~男児は黒が過半数、女児は薄紫など多様化、サブスクサービスも
小学生が選ぶランドセルの色も変化している。かつては男児は黒、女児は赤が一般的であったが、最近では特に女児で多様化している。
2024年度の小学1年生の男児のランドセルは過半数を占めて黒が多いものの、減少傾向にあり、紺や青などの他の色が約4割を占めるようになっている(図3(a))。
一方、女児では男児ほど圧倒的な選好ではないが、最多は紫/薄紫で約3割を占め、次いで桃、水色、赤と続く。なお、女児では2020年までは赤が最多で約2割を占めていたが、2021年から紫/薄紫が上回るようになり、女児のランドセルは赤という常識は過去のものとなっている。
ところで、大半の児童は小学校の6年間、同じランドセルを使用しているだろうが、最近ではランドセルのサブスクリプションサービスが登場している1。ランドセルの購入時期が前倒しされるなかで、入学時には好みが変わってしまうケースもあるだろう。また、成長が著しい小学校生活の6年間の途中で切り替えたいという需要に柔軟に対応できるものではないだろうか。
4.おわりに~物価高でメリハリ志向が高く、非日常消費は費用対効果や付加価値の高さが重視
これまで、少子化にもかかわらずランドセル市場は拡大傾向を示してきた。しかし、2024年は少子化による人口減少の影響がランドセルの平均価格上昇効果を上回り、やや縮小へと転じた。
今後とも少子化が続くなか、ランドセルのような人生の記念となる消費については6ポケット効果によって他の消費と比べて予算に余裕のある傾向は続くだろう。一方で物価高が継続し、可処分所得が増えないなかでは消費対象を選び抜くメリハリ志向は一層高まっていると見られる。
引き続き、日用品など日常的な消費は可能な限り支出を抑える一方、娯楽や娯楽といった非日常的な消費においては、費用対効果や付加価値の高さが重視される傾向が続くだろう2。