
将来を見据えて東京に夢見た45歳サラリーマン
総務省『住民基本台帳人口移動報告』によると、2424年3月~4月に他都道府県をまたぐ移動をした人は89万9,251人。昨年の春の引越しシーズンには90万人ほどが、都道府県をまたぐ引越しをしました。
また15~19歳、20~24歳に限定すると、全国で41万8,478人。昨春、進学や就職で移動した若者が相当数いたと推測されます。また東京都に限ると、9万3,280人。1都3県でみてみると、埼玉県が1万0,318人、千葉県が2万7,427人、神奈川県が4万2,004人。合わせると17万3,029人。近県からの移動者も含まれますが、多くの若者が“上京”してきたことが推測できます。
さかのぼること四半世紀前、地方から進学のために上京してきた青木健一さん(仮名・47歳)。同級生の多くは、地元の大学に進学。東京などの大学に進学したのは数えるほどだったといいます。
――当時、地方は不景気で大学を出ても就職もままならないという状況。東京に出たほうが選択肢が多いと思った
進学先は名の知れた私立大学。仮に東京での就職が叶わず、地元に帰ることになったとしても、名の知れた大学のほうが何かと有利だろう……そんな打算がありました。氷河期世代の底は抜けたものの、依然として大卒でも就職が厳しかった時代。青木さんは何とか大企業への就職を勝ち取ります。
――大きな会社ですが、業界的に給与水準は高くありません。同年代の人たちの給与を聞くと、ちょっと恥ずかしくて言い出せないですよね……
厚生労働省『令和6年賃金構造基本統計調査(速報)』によると、大卒サラリーマンの平均月収は38.5万円。40代後半では45.8万円です。それに対し、青木さんの月収は40万円ほど、年収は600万円ほどだといいます。確かに、大企業に勤めてはいるものの平均を下回っています。
【業種別「大卒サラリーマン」の平均月収】
・電気・ガス・熱供給・水道業:456.7千円
・金融業,保険業:445.3千円
・学術研究,専門・技術サービス業:412.8千円
・不動産業,物品賃貸業:411.9千円
・建設業:400.7千円
・卸売業,小売業:397.7千円
・情報通信業:395.9千円
・製造業:380.5千円
・医療,福祉:373.2千円
・教育,学習支援業:370.7千円
・運輸業,郵便業:344.7千円
・サービス業(他に分類されないもの):341.2千円
・生活関連サービス業,娯楽業:327.9千円
・複合サービス事業:318.9千円
・宿泊業,飲食サービス業:316.4千円
※出所:厚生労働省『令和6年賃金構造基本統計調査(速報)』