
20年勤めた会社が倒産。再就職した会社に退職金制度はなく…
遠藤浩之さん(仮名・65歳)。1978年に商業高校を卒業して就職。当時の大学進学率は26%ほどで、男性に限っても40%ほどと、まだ半数を超えていませんでした。遠藤さんは大学に進学したかったものの、家の経済事情を考えると早く独り立ちするほうが現実的だったといいます。
結婚したのは28歳のとき。日本はバブルで段々と浮かれモードになってきたときのこと。2人の子どもをもうけ、家も買いました。しかし、バブル崩壊後に勤めていた会社の業績は下降線をたどり、39歳のときに倒産。当時のことを振り返る遠藤さん。
――毎朝、会社には一番乗りだったんだけど、その日、出社すると会社はもぬけの殻。泥棒かと思って、まずは社長に電話したんだけどまったく繋がらない。結局、社長はそのまま行方知れず。給与も退職金も支払われず……あのときは本当に大変でした
再就職を目指しましたが、都市銀行や大手証券会社までが破綻し、新卒採用が特に厳しかった時代です。40歳手前の遠藤さんの再就職も難航します。結局、正社員として再就職を果たすまでには1年ほどかかったといいます。
そしてコロナ禍前に60歳で定年。再就職した会社には退職金制度はなかったので、当然、定年を迎えたところで1円ももらえません。
【企業規模別「退職給付制度」の有無】
退職給付制度がある…74.9%
従業員1,000人以上企業…90.1%
従業員300~999人企業…88.8%
従業員100~299人企業…84.7%
従業員30~99人企業…70.1%
※出所:厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』
――サラリーマンを40年以上続けてきましたが、途中、勤めていた会社は潰れて、定年を迎えても退職金はゼロ円。世の中、定年を迎えたら退職金はン千万円というサラリーマンも多いんでしょ。それと比べたら、嫌になっちゃうよね
60歳以降はそれまでの会社で歩合のアルバイトとして働き始めるも、コロナ禍になるとほとんど仕事はなくなりました。再び収入を得られるようになったのは、つい最近のことだといいます。
――今は月にすると18万円ほどもらえてます。手取りにすると月14万円ほど。妻のパート代が月8万円ほどで、二人合わせると月20万円くらいでしょうか。全然貯金もないから、まだまだ働かないといけないよね