“金を貸す価値がない人間がいる”…大宮さんが知った「世の中の暗部」

元々、好きで消費者金融で働いているわけではなかった。やっていて楽しいことは皆無で愛社精神なんて微塵もなかったから、退職することに躊躇はなかった。「自分が辞めて半年ほどで会社は自主廃業しています。まあ、時代の徒花だったということですよ。所詮は高利貸ですからね」

消費者金融を辞めた後、大宮さんは運送会社に再就職し、法人営業と運行管理などの業務に従事している。今は仕事のストレスからも良心の呵責からも解放されているという。

「消費者金融にいて学んだことですか？　世の中には本当にだらしのない人間がいる。金を貸す価値がない人間がいる。平気で嘘をつく人間がいる。こういうことはよく分かりましたね。貸金業はそういう人間がいることを見越して高い利息を取っているんです。そういう世の中の暗部を知ることができたのはよかったと思います」

貸金業者は「ご利用は計画的に」などと注意喚起しているが、物事を計画的に処理できる人だったらそもそも借金はしない。

借金は本当に怖い。身内から短期間だけ数万円融通してもらう程度なら仕方ない部分もあるが、無人契約機の前に座ったら破滅に向かって一直線になる危険度が高い。借金はしないことに尽きると大宮さんは話を締めくくった。

増田 明利
ルポライター