団塊世代が全員75歳以上の後期高齢者となり、日本は「超高齢化社会」に突入しました。高齢化が進むと要介護者が増え、必然的に介護をする人も増えていきます。場合によっては「介護離職」という選択をする人も出てくるでしょう。そこで、今回は突然父の介護をしなければならなくなった村田敏也さん(仮名)の事例と共に、介護離職する前に活用すべき「介護支援制度」についてCFPの伊藤寛子氏が解説します。

(※写真はイメージです/PIXTA)
年金19万円で暮らす79歳父を襲った突然の病。献身的に介護を続けた52歳・1人息子だったが、重すぎる負担に吐血…親子共倒れを決定づけた「致命的な判断ミス」【CFPの助言】
一人で抱え込まずに、外部の力を借りて柔軟に対応していくことが大事
村田さんは一人息子である責任感、職場での責任感から、すべて一人で抱え込んでしまい、外部にうまく頼ることができませんでした。
一度離職をすると復職は簡単ではありません。職場での支援を活用するために、上司だけでなく、相談窓口や人事部に事情を伝えることで、解決の糸口が見つかったかもしれません。介護休業などの制度を利用する他にも、短時間勤務や在宅勤務など、柔軟な働き方を選択できる可能性もあります。
また、自宅で母親と何とか介護できていたこと、家族で介護することが当然との思い込み、他人に頼ることへの抵抗感から、積極的に外部のサービスの利用に動くことがありませんでした。
介護は家族だけで担わないといけないものではありません。病院や自治体の窓口など、相談できそうなところで話をしてみることから、サポートを得る道に繋がっていくことでしょう。
村田さんは、負担が積み重なっている介護状況について父親のかかりつけの病院で話したことで、まずは地域包括支援センターへ行き、利用可能な介護サービスについて相談するようアドバイスをもらいました。
相談したことから介護サービスの利用に向けて動き出し、デイサービスや訪問介護を受けられるようになったことで村田さんと母親の負担は軽減されました。時間的、精神的な余裕も生まれたことから、村田さんは再度求職活動を行い、条件に合う仕事を見つけることもできました。
介護のプロによる適切なサポートを受けることで家族の負担が軽減され、無理のない介護を続けることが可能になります。
介護と仕事の両立は簡単ではありません。一人で抱え込まず、周囲や専門家の力を借りながら、柔軟に対応していくことが大事です。
伊藤 寛子
ファイナンシャル・プランナー