団塊世代が全員75歳以上の後期高齢者となり、日本は「超高齢化社会」に突入しました。高齢化が進むと要介護者が増え、必然的に介護をする人も増えていきます。場合によっては「介護離職」という選択をする人も出てくるでしょう。そこで、今回は突然父の介護をしなければならなくなった村田敏也さん(仮名)の事例と共に、介護離職する前に活用すべき「介護支援制度」についてCFPの伊藤寛子氏が解説します。

(※写真はイメージです/PIXTA)
年金19万円で暮らす79歳父を襲った突然の病。献身的に介護を続けた52歳・1人息子だったが、重すぎる負担に吐血…親子共倒れを決定づけた「致命的な判断ミス」【CFPの助言】
介護サービスを利用するには何から始めたらいい?
介護を担うのは、家族だけではありません。介護を社会全体で支え合う仕組みである、介護保険制度があります。
寝たきりや認知症などにより、介護を必要とする「要介護状態」や、家事や身じたく等、日常生活に支援が必要な「要支援状態」になった場合に、介護保険のサービスを利用することができます。具体的には以下のようなサービスがあります。
- 介護サービスの利用にかかる相談、ケアプランの作成
- 自宅で受けられる家事援助等のサービス
- 施設などに出かけて日帰りで行うサービス
- 施設などで生活(宿泊)しながら、長期間または短期間受けられるサービス
- 訪問・通い・宿泊を組み合わせて受けられるサービス
- 福祉用具の利用にかかるサービス
サービスを利用するには、要介護(要支援)認定を受ける必要があります。まずは、お住まいの市区町村の窓口で認定の申請を行いましょう。
要介護(要支援)度が判定されたあとは、受ける介護サービスの内容や、事業所選定についてケアマネジャーがケアプランを作成し、そのプランに基づいて適切なサービスが提供されるよう、事業者や関係機関との連絡や調整を行います。ケアプランの作成にあたって、利用者の負担はありません。
介護保険サービスを利用した場合の利用者負担は、介護サービスにかかった費用の1割(一定以上の所得者の場合は2割または3割)です。居宅サービスを利用する場合は、利用できるサービスの量(支給限度額)が要介護度別に定められています。