年金受給額を増やす方法として一般的なのが、受給開始を遅らせる「繰下げ受給制度」の活用です。ねんきん定期便にも繰下げをした場合の見込額が記載されています。しかし、そのねんきん定期便に、小さな文字で「注意書き」が記載されていることはご存じでしょうか。60歳会社員の事例をもとに、年金繰下げ受給にまつわる「注意点」をみていきましょう。
「ねんきん定期便」には298万円と書かれているじゃないですか…障害年金100万円を受け取りながら働く60歳男性が、年金事務所で知った“まさかの事実”【社労士CFPが「年金繰下げ受給」の注意点を解説】
障害年金を受け取っている男性の悩み
心臓の病気によりペースメーカーを入れているAさん(60歳)。障害等級3級の障害厚生年金を100万円ほど受給しながら働く会社員です。
そんなAさんには気になることがありました。それは、ねんきん定期便に記載されていた「繰下げ受給」についてです。
60歳の誕生月に届いたねんきん定期便(ハガキ)には、老齢年金(老齢基礎年金と老齢厚生年金)の見込額が記載されていました。これによると、Aさんの65歳からの老齢基礎年金は80万円、老齢厚生年金は130万円、合計210万円です。
また、ねんきん定期便の裏を見ると、老齢年金の受給開始を遅らせて増額させる繰下げ受給(1ヵ月につき0.7%増額)についても説明がありました。これには、70歳開始で受給すると42%増額で298万円、75歳開始で受給すると386万円と表示されています。
Aさんの会社は、定年後も70歳まで勤務できます。そのため、可能な限り勤務を続けたいと考えるAさんは繰下げ受給に魅力を感じ、70歳まで繰り下げたいと考えました。
しかし、Aさんは現在、障害厚生年金を受給しています。そのため、現在受給している障害厚生年金は引き続き受給できるのか、それとも調整がかかるのかがわからず、悩んでいたのでした。
そこでAさんは年金事務所へ行き、直接確認することにしたそうです。
年金事務所で知った厳しい現実
年金事務所によると、まず、現在受給している障害厚生年金と65歳から発生する老齢年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)を同時に受給することはできないということでした。65歳からは障害厚生年金か老齢年金の、いずれか高い額を選択して受給することになるそうです。
両方は受給できず、調整がかかるということはなんとなく想定していたAさん。しかし、それだけではありませんでした。
