定年を迎え、年金を受け取りながら穏やかな老後生活を送っていたものの、ひょんなことから前職に復帰することになった男性。しかし、「日本年金機構からの手紙」と「人事部からの知らせ」のダブルパンチによって、天国から地獄へ突き落とされてしまったのでした。具体的な事例をもとに、年金制度の注意点と老後破綻の回避策をみていきましょう。ファイナンシャルプランナーの辻本剛士氏が解説します。
年金月19万円の66歳男性「再雇用」で収入激増→“バラ色の老後”を謳歌していたが…〈日本年金機構〉と〈人事部〉から告げられた“衝撃の事実”に顔面蒼白「妻に土下座します」【CFPの助言】
66歳から「年収900万円超」…智之さんの“新たな老後”
智之さんはまず、年金暮らしを機に控えめにしていた趣味のゴルフやキャンプの回数を、現役時代と同じレベルまで増やし、再び本格的に楽しむようになりました。これにともなってゴルフ道具やキャンプ道具もこだわるようになり、約150万円かけて最新モデルに買い替えました。
さらに、たくさんの道具を積み込めるように新しい車が必要だと考え、800万円の高級SUVを購入。購入にあたって、ディーラーが提示したプランは金利5%の7年ローン「毎月11万3,000円返済」でした。ディーラーローンは金融機関と比べて高金利ですが、金融機関では多くの場合65歳までしかローンを組めないことから、66歳の智之さんに選択肢はありません。
「さすがに高いな……でも、いまの収入なら余裕で返せるし、これを逃したらもう二度と乗れないかも。まあ、70歳で働けなくなったら売ればいいか」
その後、せっかく買った車を活用したい智之さんは、由美子さんやかつての同僚を誘って旅行やドライブに出かけるように。その結果、定年時に600万円あった資産は400万円まで減少。
そんななかでも智之さんは「最低でも70歳までは働けるんだから問題ないだろう。そのあとも元気だったら給与を下げて働かせてもらえばいい」と楽観的です。
しかし……。
思わず二度見した日本年金機構からの“お知らせ”
そんなある日のこと。いつものように帰宅した智之さんは、ポストに1通のハガキを見つけました。差出人は日本年金機構で、「年金決定通知書・支給額変更通知書」と書かれています。特に心当たりはないものの、少し胸騒ぎを覚えながら中身を確認したところ、衝撃的な文字が目に飛び込んできました。
「し、支給停止!? いったいどういうことだ……?」
衝撃の4文字を思わず二度見した智之さん。詳しく読んでみると、現在智之さんが受け取っている年金の一部が支給停止となると書かれています。
状況を把握できない智之さんは、すぐに年金事務所へ。窓口の担当者に一連の流れを説明すると、担当者から“衝撃の事実”を告げられたのでした。