通常、「無理なく返済できる住宅ローン」の目安は、返済比率(年間返済額÷年収×100)20~25%とされています。しかし「20%未満なら絶対に大丈夫か」というと、どうもそうとはいえないようです。ルポライターである増田明利氏著書『今日、借金を背負った 借金で人生が狂った11人の物語』(彩図社)より、住宅ローンを借りて“夢のマイホーム”を手に入れた男性の実例をみていきましょう。
もう、無理だ…月収45万円のサラリーマン〈1,600万円の住宅ローン〉で埼玉県・草加駅近くにマイホームを購入「すべてが順調」だったが…6年後に発覚した“まさかの事実”に悲鳴【実話】
2,200万円のマンションを購入…住宅ローンに躊躇はなかった
1年近くもあちこちを見て歩き、最終的に決めたのが東武線草加駅近くの中古マンション。築5年で仲介業者もめったに出ない上物だと言っていた。
「値段は2,200万円でした。4LDKで専有面積は65m2。都内で利便性の高いところなら中古でも5,000万円ぐらいするのが2,200万円というのは魅力でしたね」
2,200万円のうち頭金として払ったのは600万円、残りの1,600万円が住宅ローンだった。
「今もそうだけど金利が低いでしょ。多額のローンを組むことに躊躇はありませんでした」
当時の金澤さんの収入は月収が約45万円、賞与が年間で120万円。年収にすると660万円。大手流通業の契約社員だった奥さんは月収16万円で賞与込みの年収だと約230万円。世帯年収が890万円もあったからローンを組んでも余裕だと思っていた。
「その時点では返済についても大きな不安はなかったですね」
ローンの返済方法はボーナス時払いなしで20年の返済。住宅ローンの金利が当時の過去最低レベルだったので1ヵ月当たりの返済額は約7万5,000円。
「先輩や上司の話を聞くと45歳で680万円、50歳で管理職になれば720万円ぐらいの年収が見込めそうでした。20年のローンも繰り上げを何回かできたら2、3年前倒して完済できそうだと思っていました」
実際、買って6年間はまったく問題なかった。
「前の団地の家賃が10万8,000円だったんですね。ローン返済が7万5,000円、管理費1万5,000円、修繕積立金が1万2,000円。駐輪場の利用料が2,000円だから合計10万4,000円で4,000円安い。家賃並みの金額でマイホームを手にできたのだから、いい買い物をしたと満足していました」
毎月のローンと維持費は2人の月給で苦も無く払えた。賞与は旅行したり家具、家電品の買い替えに使ったが、それでも貯蓄することができた。