「都内で1番の名門校に入れたい」Aさんだったが…娘に現れた“異変”
このころ、教育費はすでに月10万円近く、Bさんの手取りの1/5を占めていました。Bさんが「もう少し習い事にかけるお金を減らせないか」と持ちかけ、夫婦で話し合いになることもありましたが、Bさんには「育児を妻に任せきりにしている」という負い目があり、Aさんに反発されるとあまり強く言い返すことはできませんでした。
小学4年生までは、模試の成績も順調で、成績別に席が決まる塾内でも前方の席をキープできていたCちゃん。
「これはいける!」と思ったAさんは、ことあるごとに、都内で1番の名門校であるD中を勧めるようになります。「CにはD中が合ってると思うわ」
それを毎日聞かされるうち、Cちゃん自身も「D中に行きたい」と口にするようになりました。
しかし、小学5年生の夏あたりから、Cちゃんに変化が起こります。模試で思うような成績が取れなくなってきたのです。
小学5年生の夏は、「中学受験の天王山」と呼ばれるほど大事な時期です。
「ちゃんとやってるの?」「油断しているんじゃない?」「塾にいる子は友だちじゃない。ライバルなのよ」……Aさんは、思わずCちゃんを叱責する日が増えていきました。
「どうにかしなければ」と焦ったAさんは、Cちゃんの苦手科目を伸ばすために、さらに別の個別指導塾に行かせたいとBさんに相談しました。
「さすがにお金をかけすぎじゃないか……? 塾だけで月10万円以上になっちゃうよ」とBさんが言うと、「大丈夫。じゃあ他の習い事を整理するから」と、Cちゃんが楽しんで続けていたピアノを辞めさせることに。
「C、いいわよね。あなたのためなの。いまは我慢のしどころだからがんばりましょうね」
「うん……」
3種類の塾通いで、月の教育費は15万円に
メインで通っている週3回の塾に、算数塾、新たな個別塾と、平日は授業のあと、休む間もなく塾通い。月の教育費は約15万円となりました。家ではゲームも禁止され、ピアノを弾いていると「もう習っていないんだからムダでしょう」と言われます。
おとなしいCちゃんは素直に従いますが、内心どんな思いを抱えていたのでしょうか。