近年急速に普及しつつある「SNS」。世界中の人と交流が可能になるのは魅力的ですが、悪意を持った詐欺師たちとも簡単につながることができてしまいます。本記事では、50代の佐藤さん夫婦の事例を取り上げ、「SNS型投資詐欺」の実態と被害にあわないために押さえるべきポイントについて、ファイナンシャルプランナーの内田優帆氏が解説します。
お前、なぜそんなことを…。58歳・大企業勤務のサラリーマン、悠々自適の老後を確信していたが「2,000万円の貯金消滅」で計画崩壊。原因は55歳〈専業主婦妻〉が知り合った「スマホの向こう側のお友達」【FPの助言】
専門家が教える、詐欺を見抜く3つのポイントと対策
では、SNS詐欺から身を守るにはどうすれば良いのでしょうか? 気を付けるべきポイントを3つご紹介します。
1.高額な配当を謳う投資話には注意
「月利〇〇%」「元本保証」といった話は要注意です。通常、リスクとリターンは比例するものであり、リスクゼロかつ高利回り商品はありません。
2.金融庁に登録されていない業者は要注意
日本で金融商品や暗号資産などの取引を行う場合、業者は日本の法令に基づき登録を行う必要があります。登録されていない場合、投資家を保護するシステムが十分に整っていないと言えます。取引相手が金融庁の登録を受けているのかを確認するようにしましょう。
3.家族や専門家に相談する
SNSで知り合った人にお金を預ける前に、家族や専門家に相談することが大切です。第三者に相談することで、冷静な判断をすることができます。また、家族間でのコミュニケーションも重要です。定期的にお金の使い道や資金計画を話し合い、互いに相談できる関係を築くことが、詐欺被害を防ぐ最善策です。
SNS詐欺は他人事ではない…家族間でのコミュニケーションも重要
絵里さんの話を聞き、しばらく悲嘆に暮れていた和也さんですが、こう話しています。
「まだ退職するまで時間があります。できるだけ長く働き、お金のことも勉強しながら老後に備えたいと思います。思い描いていた悠々自適の老後生活は送れないかもしれませんが、夫婦で協力し合って前向きに生きていきたいと思います」
佐藤さん夫婦のような被害にあわないためには、先ほどの3つのポイントで対策しておくこと。そして、もしも「SNS詐欺かもしれない」と不安に思うような勧誘を受けたりしたら、振り込みをする前に以下の窓口に相談をしましょう。
- 警察相談専用窓口#9110
- 消費者ホットライン188
- 未公開株通報専用窓口0120-344-999
(SNS型投資詐欺 | 最新の詐欺 | 警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページより)
振り込んでしまったあとでも、場合によっては「振り込め詐欺救済法」により救済される可能性もあります。詐欺だと気づいた場合、早急に問い合わせをしましょう。
佐藤さん夫婦のケースは、SNS詐欺が決して他人事ではないことを物語っています。SNSは便利なツールである一方、リスクも伴うことを理解し、慎重に利用する必要があります。また、家族間でのコミュニケーションも重要です。定期的にお金の使い道や資金計画を話し合い、互いに相談できる関係を築くことが、詐欺被害を防ぐ最善策です。
<参照>
- 総務省|報道資料|「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」の公表
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01iicp01_02000122.html
- SNS型投資詐欺 | 最新の詐欺 | 警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページ
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/new-topics/investment/
内田 優帆
ファイナンシャル・プランナー/QOLアドバイザー