52歳会社員の佐藤美咲さん(仮名)は一家の大黒柱。年収1,000万円という高収入を背景に夢のマイホームを購入しました。しかし、その後に想定していなかった体調不良に襲われ、住宅ローン返済が困難になってしまいます。今回の事例では「死なないけど働けない」という事態に対処する備えの重要性について、FPの三原由紀氏が解説します。
年収1,000万円バリキャリ妻と年収240万円自営業夫、50代で念願のマイホームを7,000万円で購入。ゆとりのローン計画だったはずが…2年後、赤字転落で涙の売却へ。発端は妻を襲った「突然の異変」
終の棲家を手に入れた年収1,000万円のキャリア妻と年収240万円の夫
佐藤美咲さん(仮名・52歳)は大手消費財メーカーで管理職を務めるキャリアウーマン。夫の健一さん(仮名・55歳)は職場の元先輩、脱サラして個人で整体院を営んでいます。
美咲さんの現在の年収は約1,000円と、女性としてはかなりの高収入。一方で、夫の整体院は売り上げが安定せず、家計に入れている金額は概ね平均で年額約240万円。2人合わせれば世帯年収1,240万円と十分豊かな家庭といえます。
家族構成は大学生の長男(20歳)と高校生の長女(17歳)の4人家族。美咲さんが家計管理を担当しています。長らく賃貸マンションに住んでいましたが、コツコツ貯めた貯蓄で今からさかのぼること2年前、夢だったマイホームを購入することにしました。
新築マンションの価格は7,000万円。頭金2,000万円を支払い、残り5,000万円は25年ローン(月々約18万円)で返済する計画でした。ローン返済負担率は17%と無理のない範囲に設定。団体信用生命保険や医療保険にも加入し、「これで何かあっても安心」と思っていました。
購入した家は住み心地抜群。子どもたちは10年以内に独り立ちする前提であまり広くはありませんが、駅近でスーパーも近くにあります。「老後も暮らせる終の棲家をやっと手に入れられた」と満足していました。
しかし、購入から2年たった頃、美咲さんはさまざまな体調不良に悩まされるようになりました。動悸、耳鳴り、倦怠感など、症状は1つではなく色々なところの調子が悪いのです。
身体の専門家である健一さんに相談すると、自律神経の乱れからきているかもしれない、と施術をしてくれました。一時的にはよくなるものの完全復調とはならず、病院での受診を決意しました。