老後を見据えた準備。会社員や公務員であれば、基礎年金に加えて厚生年金も受け取れるので、年金だけで生活するというのも視野に入れることができます。しかし自営業で基礎年金だけだと、なかなかそんな老後を見据えることはできません。6万円強の基礎年金だけで生きていく……あまりに過酷な現実です。
老後は田舎暮らしを決め込んでいたが…夫を亡くし「年金は国民年金だけ」と悲観に暮れる66歳妻、年金機構から届いた「緑色の封筒」に涙したワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

店主の夫の急逝で閉店…月6万円強の老後生活がスタート

突然の訃報で、智子さんの生活はガラリと変わりました。定食を作る人がもういないわけですから、お店を続けることはできません。創業40年の定食店は、閉店を余儀なくされました。

 

収入は智子さんの年金だけ。厚生年金の加入歴がないので、受け取れるのは基礎年金のみ。令和6年度だと満額で6万8,000円だけです。夫にも厚生年金の加入歴がなく、また要件を満たす子もいないので、遺族年金ももらえません。

 

昨今、店の経営が厳しかったこともあり、老後を見据えた貯金はほぼゼロ。共済に入っていましたが、死亡保障で手にできたのは200万円強だけ。夫の急死により突然始まった老後は、あまりにも「お金がない」という状態でスタートしました。

 

――持ち家だったのか、せめてもの救いでした

 

子育て中の子どもたちからはとても支援など期待できず、生活費は月6万円強の基礎年金だけ。それで何とかやりくりしようとするものの、光熱費のかかる夏場や冬場はどうしても足が出てしまい、保険金を少しずつ取り崩す。仕事に出ようと思っても、腰の持病から立ち仕事は難しい。しかし社会人になってから飲食店のホール&レジしかしてこなかった智子さん、自分にできる仕事が思いつきません。まったく余裕のない生活に、「この年になって、こんな惨めな生活が待っているとは……」と涙があふれたといいます。

 

夫が亡くなって以来、ふさぎ込むことが多くなった智子さんですが、少しだけ前向きになった出来事があったといいます。それが日本年金機構から送られてくる「緑色の封筒」。この封筒には、低所得者を対象とした「年金生活者支援給付金」の請求書が入っています。

 

給付要件は「65歳以上の老齢基礎年金受給者」「世帯全員が市町村民税非課税」「年金収入額とその他所得額の合計が889,300円以下」。給付額は保険料納付済期間に応じて変動しますが、最大月額5,310円。新規対象者には9月ごろに案内が届き、請求書を提出したら、通常の老齢年金に上乗せして支給されます。またすでに受給している場合は、新たな手続きは不要です。

 

年間6万円ほどの給付金。それで生活が好転できるわけではありませんが、少しだけ背中を押してくれる、そんな金額です。

 

――しばらくいいことがなかったので、ちょっとした金額でも嬉しい

 

と涙したという智子さん。少しずつだけど前を向こうと心に決め、腰の持病を抱えながらでもできそうな仕事がないかと、ハローワークに通っているといいます。

 

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[参考資料]

ベンチャーサポートグループ株式会社『老後資金と働き方調査』

厚生労働省『年金生活者支援給付金制度について』