日本における持ち家率は6割。高齢者になると8~9割となります。ただ夢のマイホームに、そのまま住み続けられるかといえば、高齢者には難しい部分も。建て替えか、それとも住み替えか……難しい選択です。
ごめん、母さん…年金10万円・シニア向けマンションで楽しく暮らす〈75歳母〉だったが、余裕の老後を狂わせる〈48歳・ひとり息子〉が伝えた「残酷な現実」 (※写真はイメージです/PIXTA)

息子からの「月10万円の仕送り」を頼りに住み替えを決めたが…

シニア向け分譲マンションへの住み替えにあたり、実家は売却。母親の貯蓄と合わせて初期費用の5,000万円を工面しました。問題は月額費用。母親の収入は年金月10万円ほど。対し月額費用も10万円。しかしそこには食費等生活費は含まれていません。

 

――住み替えを機に、毎月10万円ほど、母親に仕送りすることにしたんです。それくらいあれば、余裕ある生活が送れるのではないかと考えて……

 

斉藤さんのサポートもあり、シニア向け分譲マンションでの暮らしは充実。入居者のなかにも仲のよい友人ができ、楽しい日々を過ごしているよう。母親からもたびたび「毎日が楽しいのは誠のおかげ。ありがとう」といわれ、親孝行ができてよかったと思っていたといいます。

 

しかし、そんな日々に終わりが訪れます。斉藤さんが勤めていた会社が業績不振に陥り、給与が大幅ダウン。自身の住宅ローンの返済や子どもの教育などを考慮すると、母親への仕送りはこれ以上不可能でした。

 

――ごめん、お母さん。これ以上は仕送りができない……

 

これを機に、斉藤さんの母親は退去&売却を決意。しばらく、誠にさんの家に厄介になることに。さらにつらい状況は続きます。マンションがなかなか売れず、誠さん一家との同居を解消できずにいるといいます。

 

シニア向け分譲マンションを売ろうとしても売れない……そんなケースがあります。まだ歴史の浅いシニア向け分譲マンション、中古市場が確立されていないことが売りにくくしている一因です。入居を維持するコストが通常のマンションよりも高いのも売却においてはネガティブな要素。今後、高齢化の進展とともにさらに増えていきそうなシニア向け分譲マンション。

 

一度購入・入居したからといって、住み続けられるとは限りません。出口戦略も視野に購入を検討することが重要です。

 

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[参考資料]

ベンチャーサポートグループ『シニアの住み替えに対する意識調査』