語尾を変えたり、質問の選択肢を増やし言い回しを変えたり、ちょっとした言葉遣いの違いで、お客様が受ける印象は大きく変わるようです。本記事では、元ANAのCAで人材教育講師の三上ナナエ氏の著書『一生使える「接客サービス」の教科書』(大和出版)より、接客における言葉遣いについて解説します。
中学生のお客様に友達言葉→「普通の言葉遣いで話してください」…親しみを込めた接客の壁【元ANAのCAが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

どちらかを選んでもらう言い方

ざっくり訊かれると、答えに困るお客様もいらっしゃいます。どちらか一方を選ぶ訊き方は答えやすく、的も絞りやすいので会話の入口には便利です。

 

例) マッサージ店でマッサージの強さを質問する

「今の強さで大丈夫ですか?」

「今より強いほうがいいですか? 弱いほうがいいですか?

 

例) 贈り物を選ぶシーン

「その方はいつもどのようなファッションですか」

「その方のファッションはカジュアルが多いですか? 落ち着いた感じが多いですか?

 

ただ、お客様によっては自由に話したい方もいるので、会話の流れで自由に希望を言っていただいたほうがよいと感じたら、無理に絞り込む質問をする必要はありません。

 

砕けた言葉遣いは危険

相手を見てわざと砕けた言葉遣いに切り替える人もいますが、「軽く見られた」と感じさせてしまう危険性があります。私もCA時代、中学生のお客様に友達言葉で話していたら、「普通の言葉遣いで話してください」と言われたことがあります。「自分が親しみやすい人に見られたい」という気持ちを見透かされたような気がして、恥ずかしくなりました。また、相手がどんな反応を示しているのかを気にせず、一方的に砕けた話し方をしてしまったことが反省点です。

 

無理にお客様との距離を縮めようと、砕けた表現を使うと失礼になることもあります。第三者から見ても、不快感を抱いたり、その親しげな様子に「客によって対応を変えるのかな」と寂しい思いをする方もいるでしょう。

 

丁寧過ぎる必要はありませんが、言葉遣いは“車間距離”と同じ。「です・ます」は最低限キープしたほうが、適度な距離感を保て、結果的に良い関係をつくりやすいものです。

周りからアドバイスをもらう

いかがでしょうか。ついつい使い過ぎている言い回しはありましたか?

 

自分では気づきにくいものですから、日頃から友人や職場の同僚・先輩などに「もし言葉遣いや話し方で、少しでもおかしいところがあったら教えてください」とお願いしておくとよいでしょう。最初からうまくできなくても大丈夫。まずは肩の力を抜いて、失敗したと思ったらそこから学べばいいだけです。初めから言葉をうまく遣える人なんかいません。少しずつゆっくりゆっくり、試していきましょう。

 

POINT:語尾を変えるだけでお客様の心が動く

 

 

三上 ナナエ

元CA・人材教育講師