いざ、離婚宣告

Aさんの離婚宣告に、夫は「おいおい、なにをバカなこと言ってるんだ(笑) パートごときの収入で、お前ひとりでどうやって生きていくんだ、ん?」と高笑い。上から目線で相手にしません。

しかし、Aさんが冷静に財産分与について切り出すと一転、顔を真っ赤にして怒鳴りはじめました。

「オレの財産を盗む気だな! お前になんか1円も渡さない! 誰のおかげで今まで生活できてきたと思ってるんだ!」

誰のおかげ? こっちのセリフだわ……Aさんは心の底から呆れてしまいました。2人で話し合えたら良いと考えていましたが、とても無理な話でした。

家を出たAさんは、弁護士から「1円も渡さないと息巻いていた夫が、1円も渡さないどころか、自宅を売却する必要があるとの説明を受け、泣きながら謝罪している」と聞かされました。

それを聞いても、Aさんの意志は揺らぎません。ただ、空を仰ぎ、ふと、もし尊敬し合える夫婦だったら今ごろどんなふうに過ごしていたのだろうか、と思っただけでした。

人生100年時代といわれるようになり、老後と呼ばれる期間がどんどん長くなっています。「離婚せずとも、つかず離れずやり過ごせばいいじゃないか」そんな意見もあるかもしれません。もちろん、安易に離婚という選択をするべきではありませんが、何歳からでも自分らしい人生を選択することができる、そんな時代が来ているのではないでしょうか。

石川 亜希子
AFP