首都圏模試センターの2024年調査によると、首都圏の小学6年生約28万9,000人のうち、およそ20%にあたる6万人以上が中学受験をしているそうです。少子化傾向でも中学受験に挑む家庭が増えている日本。ただ、大変な努力の末に合格を勝ち取った家庭が、それで幸せになれるのかというと、どうやらそういうわけでもないようで……。2人の子を私立中学に通わせる石川亜希子FPが解説します。

こんなはずじゃなかった…世帯年収1,000万円の40代・共働き夫婦、愛する息子の「中学受験」成功に大喜び→入学後に待ち受けていた“まさかの事態”に悲鳴【FPが解説】
中学受験で大金星!…わが子が「難関校」に合格して大喜び
都内在住のAさん(47歳)は、2歳年下の妻Bさん(45歳)と中学1年生のCくん(13歳)との3人家族です。
今年の春、Aさんたち家族にとって、跳び上がるほど嬉しいことがありました。それは、ひとり息子のCくんが中学受験で難関といわれる大学附属校のX中に合格したことです。
X中は、Cくんの「持ち偏差値」より5以上も上の学校でした。それまでの模試では合格圏内に達したことがなく、塾の先生もびっくりの“大金星”です。
父親であるAさんは、合格報告で周りから「すごい、すごい」と言われて照れくさそうなCくんを見守りながら「息子が実力を100%発揮した結果だ」とわが子を誇らしく思っていました。
世帯年収は約1,000万円ありますが、月の手取りは妻の収入と合わせて約55万円です。住宅ローンの返済に加えて、これからは学費もかかってくることになりますが、家族みんなでこれから始まる6年間を思い、期待に胸を膨らませていました。
こんなはずでは…“予想外”の中学校生活
「入学式」と書かれた白幕の立て看板前で、家族そろって誇らしげに写真に収まった数日後。学校では早速、実力テストがありました。
意気込んでテストに臨んだCくんでしたが、結果はビリから数えたほうが早いほど。
「かなり頑張ったのに……僕が受かったのはまぐれだったの?」
そう言って落ち込むCくんを、両親は慰めます。
「あんなに大変な中学受験を乗り越えたんだから、ここからコツコツやれば大丈夫よ」
「そうだ。それに、入学時の学力は今後の成績にあんまり関係ないっていうからな」
しかし、授業は恐ろしいほど進度が早く、教師も「理解していて当然」という体で授業を行います。優秀なクラスメイトたちはそれを不満に思うそぶりもなく、淡々とこなしていきます。Cくんの学生生活は、授業に追いつく暇もなく、あっという間に過ぎていきました。
1学期末の定期考査も、入学当初の実力テストとあまり変わらぬ順位です。すると、両親とCくんは夏休み前の保護者面談で担任から衝撃的なことを告げられました。