過去最高の熟年離婚率…その理由は?

同居20年以上での離婚を指す「熟年離婚」。

厚生労働省2022年「人口動態統計」によれば、離婚件数は約17万9,000件で減少傾向にある一方、同居期間20年以上での離婚は約3万9,000件、高止まりの傾向にあります。全体件数に占める「同居20年以上」の割合は約23.5%と、1947年に統計を開始して以降、過去最高に。時代の変化が感じられます。

背景には、老後が長くなっていることが挙げられます。1965年には平均寿命は男性が67.74歳、女性が72.92歳でしたが、2022年には男性が81.05歳、女性が87.09歳となりました。

また、女性の社会進出が進んでいること、年金分割制度について理解が広がったことも大きいでしょう。こうした社会的背景が、ひと昔であれば経済的な面で「離婚したくてもできない」と思っていた人たちの背中を後押ししていると考えられます。

モラハラ夫と離婚したい、でも…

東京郊外で暮らすAさん(52歳)は、長年、モラハラ気質な夫(59歳)に悩まされてきました。夫は年収約1,200万円、自分は稼いでいるから偉いという意識がとても強く、専業主婦だったAさんを常に見下していました。

「家事や育児は女の仕事だ」と、休みであっても一切手伝うことはなく、また自分の思いどおりにならないと不機嫌になって当たり散らす日々。

24歳で結婚したAさんは「夫には何を言っても無駄だ、でも、離婚しても子どもと2人では生活できない」と悶々とした思いで過ごしていました。

Aさんの転機は、40歳のとき。子どもが中学生となって少し時間ができた際に「家のことを疎かにしない」と夫と約束のうえ、会計事務所でパートを始めたことでした。

パート先の社員に、Aさんより少し年上で、女手ひとつで子どもを育てているという女性がいました。一緒に働くうちに、その人がずっと専業主婦だったこと、夫に借金があって離婚したかったこと、離婚するには経済力が必要だと、パートから始めて正社員に登用されたことなどを知り、Aさんは衝撃を受けたそうです。