AIが人類の仕事を奪うといわれて久しいですが、近年は、AIの普及によって新たに生まれた職業である、“AIの開発や運用を行う人材”の不足が叫ばれています。また、AIを使ったアニメや漫画など、人類とAIが互いの得意分野をかけ合わせて作品を制作するケースが続々と生まれています。一方で、AIは創造だけでなく予防も得意です。近年は人間の弱点を補完し、トラブルを未然に防ぐAIやITが進化を遂げています。本記事では、リスクヘッジに役立つテクノロジーをご紹介します。
SNSの炎上リスクを予測するAIに、偽ブランド品を判別するブロックチェーン。リスクヘッジに役立つテクノロジー (※写真はイメージです/PIXTA)

「鯖江ブランド」製品の偽造品を見分けるブロックチェーン搭載システム事例からみる、日本製ブランド&知財保護システム「HyperJ.ai」

最後に、世に出回るブランド製品が“本物”か?“偽物”か?見分けることができるサービスを紹介します。「日本の匠が開発した日本の名品、逸品を偽造品によって損なわれないように守る」という目的のもと生まれた「HyperJ.ai」です。次世代DXサービスを手がけるリーガルテックが開発し、子会社のJAPANMADE事務局が展開するブランド&知財保護システムです。

 

“書き込まれた情報は改ざんできない”というブロックチェーンの特徴を活かして、ブロックチェーンに登録されたシリアル番号と製品を照会することで、真贋を判定します。

 

たとえば、高品質な眼鏡や漆器で知られる「鯖江ブランド」の事例を見てみましょう。鯖江市におけるHyperJ.ai導入企業の商品に付与されたシールを、スマートフォンで読み取ると、商品が正規品か偽造品か瞬時に判別できます。

 

商品が正規品か偽造品か瞬時に判別することを可能に(JAPAN MADE事務局株式会社提供)
商品が正規品か偽造品か瞬時に判別することを可能に(JAPAN MADE事務局株式会社提供)

 

鯖江商工会議所では眼鏡製品・部品メーカー、越前漆器メーカー、繊維メーカーなど、53社の会員企業が採用。さらに、全国のGI産品〔地理的表示(GI)保護制度に登録された品〕、アート作品、書籍に導入されています。

 

加えて、農林水産省が知財を守る取り組みとして選定した、北海道のGI産品である乾燥ナマコ「檜山海参(ヒヤマハイシェン)」や、鯖江伝統野菜「吉川ナス」などにも導入。出荷商品全数に対して、偽造品防止の取り組みが行われています。

 

HyperJ.ai(JAPAN MADE事務局株式会社提供)
HyperJ.ai(JAPAN MADE事務局株式会社提供)

 

偽造品防止という観点では、導入企業からは「被害が低減した」という反響がありました。その他、「『知財保護対策をしている製品』ということで、消費者から信頼を獲得することができた」という声が寄せられています。

 

同社は「全国の伝統産業から、グローバルニッチトップ企業に至るまで――日本のいいもの、いい企業の知財をテックで守りつつ、世界に紹介していきたい」と語ります。

業界を問わず、必要不可欠な存在になっていくだろうリスクヘッジ技術

SNSの炎上防止に法務サポート、製品の真贋判定……現在は、発達したテクノロジーがさまざまな形でリスク回避に貢献しています。人間の作業にはミスやトラブルがつきものである以上、AIと協力することで、より安全な未来を切り拓いていくことができると言えそうです。業界を問わず、必要不可欠な存在になっていくだろうリスクヘッジ技術から、今後とも目が離せません。

 

 

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<著者>

カワハタユウタロウ

フリーライター。大学卒業後、編集プロダクション勤務を経て、Eコマース・通販関連業界紙の編集部に約7年間所属。その後、新聞社系エンタメニュースサイトの編集部で記者として活動。2017年からフリーランスのライターとして、エンタメ、飲食、企業ブランディングなどの分野で活動中。