熟年離婚を回避するために、どう備えればいい?

熟年離婚の原因はさまざまですが、佐藤さんの事例のように、子育てや仕事が一段落したときに離婚に至ることはめずらしくありません。子どもが独立したり夫が定年退職したりして、夫婦だけの時間が増えることに、妻が耐えられなくなるパターンです。

親しき仲にも礼儀ありという言葉の通り、日ごろから妻に感謝の気持ちを表したり、コミュニケーションを取ったりするべきなのはいうまでもありません。「まさか我が家に限って」と思っていると、このような熟年離婚になることも多いものです。

また、 退職して収入が減ったにも関わらず現役時代と同じように支出を続けるなど、夫婦間での金銭的な不満が熟年離婚の原因になることも多くあります。日々の収入と支出の管理はもちろんのこと、どのような生活を望むのか、イメージする将来像をお互いに共有したり、可能な範囲で将来的なお金周りの予測を立ててみたりするなど、老後に対する認識をすり合わせていく必要があるといえます。

ある程度まで将来の方向性が定まってからは、理想の将来の実現に向けて協力していくことも欠かせません。そのための人生設計がライフプランであり、それを最大限実現できる資金計画を立てることが重要です。

年金生活に入ってから離婚となると、厚生年金や資産の分割などで大きく資金計画が崩れ、佐藤さんのようにゆとりの生活のはずが節約生活を強いられてしまうことがあります。離婚だけでなく、配偶者のどちらか片方が死別した場合に、公的年金の受給額が減ることによるリスクもあります。そういった場合でも資産が十分に確保できているのかなど、チェックしておくとよいでしょう。

そういった保障の必要性も含め、自分達の目指すこれからの理想とする生活のイメージや人生設計をしっかり二人で共有し、人生の共同経営者としてしっかり話合ってみることが大切です。

小川 洋平
FP相談ねっと