「ことばにしていいんだ」彰子の解放

――まひろに心のうちを指摘されるシーンについて

こんなにも自分のことを見てくれている人がいたんだということに結構衝撃を受けたし、うれしかったし、「帝への気持ちをことばにしなさい」みたいなことを言われるんですけれど、それを言われたときは今まで誰もそんなこと言ってくれなかったから「私、ことばにしていいんだ」と、少し解放じゃないけれど、何か今まで絡まっていた糸みたいなものがほどけていく感覚がありました。

(C)NHK
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「帝への思いを伝えたらどうですか」というシーンの中で、帝への思いだけではなくて、「お父さん(藤原道長)のことも、あなたはすごい良く見ているよね」っということを、まひろは言ってくれて、それもすごくうれしくて……。

お父さんの政治のやり方とかいろんな思惑とか娘の思いとか、そういうのを「彰子はわかっていない」とみんなが思っていたと思うけど、実は彰子は全部わかった上で口をつぐんでいるというのを、まひろだけは見てくれていたというのを伝えてくれていたので、すごく大事なシーンだったし、ここからの彰子自身もまひろとかお父さんとの関係性も、ここから変わっていくきっかけになるんじゃないかなと思いました。

(C)NHK
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『光る君へ』

『光る君へ』は、平安時代中期の貴族社会を舞台に、千年の時を超えるベストセラー『源氏物語』を書き上げた紫式部(まひろ)が主人公。のちの紫式部であるまひろが、藤原道長への思い、そして秘めた情熱とたぐいまれな想像力で「光源氏=光る君」のストーリーを紡いでゆく姿を描く。脚本を手掛けるのは、『セカンドバージン』や『知らなくていいコト』『恋する母たち』などで知られる大石静さんで、今回が2度目の大河ドラマ執筆となる。

THE GOLD 60編集部