8月に世界的な株価暴落がありましたが、自分の資産運用がこのままでいいのか不安になり、売却してしまい損をした人もいたのではないでしょうか。日本も投資しやすい環境・制度が整い始め、投資をスタートする人が年々増加している一方、投資の知識やノウハウを得ないまま「ほったらかし投資」をしている人も多い印象です。日本や世界の経済が目まぐるしく変化している今こそ、資産を大きく減らさない資産配分が重要となってきます。本記事では、FPの金子舞氏が、資産配分の見直し方法を再確認し、資産を守っていく方法をお伝えします。
相場急変時に「怖くて売ってしまいました」は悪手…暴落が起きても慌てないためにするべきこと【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「投資をすれば増える」という思い込み

「今までずっと増えてきていたので、今回こんなに下がると思わなくて……。どんどん資産額が下がっていくのが耐えられず、怖くて手放して損してしまいました」

 

こんな風に話してくださったのは、先日初めて個別相談に来たお客様のAさん(38歳・会社員)。旧NISA時代から投資信託をコツコツ積立投資していて、少しずつ資産が増えていくのが楽しみとなっていた矢先、8月の暴落で初めて資産が減るという経験をして、思わず売却してしまったとのことでした。

 

ここ数年はずっと相場が右肩上がりだったため、「投資をすれば資産が増える」と思い込んでいたというAさん。でも実際は、必ず増えるわけではないのが投資の世界。だからこそ資産を増やしながらも減らさない仕組みを作ることが重要です。

 

そのために必要なのが、適切な「資産配分」を設定すること(アセットアロケーション)です。具体的にどのように資産配分を考えればいいのか、3つのSTEPに分けて見ていきましょう。

資産配分の考え方 3STEP

1.投資の目的を明確にする

投資をするうえで一番重要なのが「目的の明確化」です。どれくらいの期間でいくら増やしたいのかは、人それぞれ異なってきます。将来のお金の不安を解消したいのか、それとも直近の生活を豊かにしたいのかによって、選ぶ投資商品のジャンルも違います。

 

将来のお金の不安を解消するのであれば、簡単に分散投資できる投資信託を長期保有してお金を育てるほうが低リスクでリターンも期待できますが、個別株式の短期売買を選ぶ人がいます。逆に直近の生活を豊かにしたい場合は、株式投資で短期売買したり株主優待、配当金などで資産増加を狙うほうが向いていますが、投資信託でお金を育てている人もいます。

 

こんな風に自分の現状と商品の特性を理解して投資しないと、思ったようなリターンを得られなかったり、リスクを負いすぎたりします。

 

もちろん年齢、家族構成、仕事や資産状況などによっても変わってくるので、どの投資商品で始めるかは慎重に見極めなければいけません。商品ありきではなく、目的を見失わずに投資するか検討することが大切です。