専業主婦世帯が多数派だったころ、「家事は妻の仕事」という考え方が一般的でした。共働きが主流である現在はどのように変わったのでしょうか? 本記事では、株式会社Smart相談室、代表取締役・CEOの藤田康男氏にのもとに寄せられた相談事例に基づき、夫婦の家事分担と仕事への影響について解説します。
夫は食器も下げずにソファーにゴロン…年収550万円の30歳「共働き・家事負担過多の会社員妻」残業できず昇進逃し、涙 (※写真はイメージです/PIXTA)

女性の家事時間は男性の2倍以上

今回は、共働きの夫婦において、女性側に家事の負担がかかっているという状況でした。個人的な意見になりますが、子育て期に夫婦間の家事バランスが均等でないケースはイメージできるのですが、夫婦のみのケースで家事バランスが崩れることもあるのだと感じました。調べてみたところ、子どもの有無に関わらず、女性の家事時間は男性の2倍以上になっています。さらに子育て期になると、最大3倍以上になります。その実態から、まだまだ女性に家事負担がかかっていることがわかります。結果として、各自が持つ可処分時間は想定的に女性のほうが少なくなるのでしょう。

 

家事時間(男女の比較)

女性の場合は家族類型により「家事時間」が大きく異なり、男性の場合は家族類型を踏まえても変化はないという傾向があります。このため、「単独世帯」では男女でほぼ同じだが、夫婦になると女性は男性の2倍以上となっている。

 

・「夫婦のみ世帯」……女性が男性の 2.64 倍
・「夫婦+子供(就学前)世帯」……女性が男性の 2.79 倍
・「夫婦+子供(小学生)世帯」……女性が男性の 3.58 倍
・「夫婦+子供(中学生)世帯」……女性が男性の 3.34 倍

(*)下記参照

上司としての対処法

そもそも夫婦間の問題に関しては「話し合いをしましょう」としか言いようがありません。しかし、話し合えていないから、このような事態になっているわけで、単純に話し合うことを解決策として想定するのは難易度が高そうです。会社の上司としての問題であれば、どこまで踏み込んで対応するか、という判断になると思います。

 

どちらにしても、解決策を提示しなくてはならない、ととらわれる必要はありません。確かに、解決策を提示できればいいのですが、その前段階の「聴くだけ」というステップを入れるようにしましょう。夫婦間であれば、自分の言い分を聴いてもらう、相手の言い分を聴く、そのような時間を持つようにしましょう。一方上司であれば、彼女の気持ちが収まるまで、言い分を聴いてあげましょう。

 

無理に解決策に飛びつくのではなく、目の前の相手の気持ちが底を打つまで時間をかけて話を聴いてみましょう。そうすれば、その人が本当はなにに悩んでいるのか、なにを改善していくべきなのかが見えてくるはずです。

 

(*)
令和元年度内閣府委託調査
令和元年度 家事等と仕事のバランスに関する調査報告書
https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/pdf/balance_research_202003/07.pdf

P20
【分析結果】
① 有業者の「仕事のある日」<図表 1 参照>
ア.家事時間
(男女の比較)
 女性の場合は家族類型により「家事時間」が大きく異なり、男性の場合は家族類型により
異ならないという傾向がある。このため、「単独世帯」では男女でほぼ同じだが、夫婦に
なると女性は男性の 2 倍以上となっている。
- 「夫婦のみ世帯」・・・女性が男性の 2.64 倍
- 「夫婦+子供(就学前)世帯」・・・女性が男性の 2.79 倍
- 「夫婦+子供(小学生)世帯」・・・女性が男性の 3.58 倍
- 「夫婦+子供(中学生)世帯」・・・女性が男性の 3.34 倍

 

 

藤田 康男

株式会社Smart相談室

代表取締役・CEO