どんな親でも、自分がなれる最良の親になりたいと思うことでしょう。しかし、時として、自分自身や子どもを「判定」したがる習慣が、それを阻むことが少なくありません。本記事では、英国の心理療法士、フィリッパ・ペリー氏による著書『子どもとの関係が変わる 自分の親に読んでほしかった本』(日経BP 日本経済新聞出版・刊、高山真由美氏・訳)より一部を抜粋・再編集して、より良い親子関係を築くために、親が子にすべき姿勢について、詳しく解説します。
子どもの〈健全な成長〉を願う親たちへ伝えたい…〈良い親〉を目指すより大切な「たった一つのこと」  (※画像はイメージです/PIXTA)

子どもの成長に良い影響を与える「声かけ」

自分を判定すべきでないのと同じように、子どものことも判定しない努力が必要です。何かを箱にしまい、ラベルを貼っただけで忘れてしまえれば都合はいいかもしれませんが、良い影響はありません。その箱のなかに入れられた人にとってはなおさらです。

 

子どもを判定するのはなんの役にも立ちません。「おとなしい子」「不器用な子」「うるさい子」などといったラベルに縛られていては、自由に伸びていくことが難しいからです。

 

人間は常に変化し、成長します。とりわけ子どもはそうです。だから判定して断ずるよりも、あなたが目にするものを表現し、高く評価する言葉を口にするほうがずっといいのです。

 

たとえば、こんなふうに言いましょう。「あなたがその計算にすごく集中しているのが、とてもいいと思った」。これはただ「算数が得意なのね」と言うよりずっといいのです。同様に、単に「いい絵だね」と言うのではなく、「よく考えて描いてあるね、感心したよ。家が笑っているみたいに見えるところが好きだなあ。楽しい気持ちになれる」と伝えましょう。努力を褒め、あなたが見たものや感じたものを表現して子どもを励ますのです。

 

高く評価できる具体的なポイントを見つけて言葉にすれば、「いいね」のような型どおりの判定よりずっと励みになります。たとえ1ページ丸ごとぐちゃぐちゃの汚いノートでも、ある1文字が完璧に整っていたら、「この字がきれいに書けてるところが気に入ったよ」と言えばいいのです。きっと次にはきれいな文字がもっと増えるでしょう。

 

 

フィリッパ・ペリー

心理療法士