子どもの成長は、親にとって何にも代えがたい喜びではあるものの、教育費の負担は家計にとって大きな支出の一つです。晩婚で子どもを授かった場合、子の大学入学と年金生活のスタートが同時期になることも考えられます。今回は45歳で結婚をし、47歳で子どもに恵まれた佐々木健司(仮名)さんを事例に、子どもの大学入学と年金生活のスタートという二大イベントが同時に到来する家計への対策について、南真理FPが解説します。
「奨学金を借りてくれないか…」晩婚→47歳で「父親」になり17年。年金受給目前の64歳元会社員が、大学進学を目指す我が子に頭を下げた切実な事情【FPの助言】
念願の結婚、待ち望んだ子どもを授かったが、17年後の今、苦境に
佐々木健司さん(仮名)は、婚活に苦労ながらも45歳の時に念願叶って10歳年下のひとみさんと結婚しました。その2年後(佐々木さん当時47歳、妻ひとみさん当時37歳)、待望の男の子を授かりました。
それから17年が経ち、佐々木さんは64歳になりました。60歳で定年退職後も会社に継続雇用されていましたが、業績不振のあおりを受け昨年退職せざるを得ず、現在は無職。求職活動をしていますが、納得して働けそうな職場は今のところ見つかっていません。65歳からは年金を月22万円(※)受給する予定です。※年間で267万円(内訳:老齢基礎年金78万円、老齢厚生年金150万円、加給年金41万円)
今、佐々木さんの頭を悩ませている問題があります。それは17歳の息子が来年大学入学を迎えることです。妻のひとみさん(54歳)は、会社員として年収300万円(税金や社会保険料が差し引かれる前の金額)の稼ぎがあるものの、妻の収入と自分の年金だけで大学費用を払っていけるのかが不安でなりません。
「年金をもらう年になるというのに、これから大学費用でたくさんお金がかかる。自分の老後資金も必要だし、これからの生活が不安でしかない…」
そこで佐々木さんはファイナンシャルプランナー(以下、FP)に教育費を含めた今後のライフプランについて相談することにしました。
FPは佐々木さんの話を聞き、まずは大学費用にどれぐらい必要なのか把握すること、そして選択肢の1つとして奨学金制度を利用する方法があることを伝えました。