「あれはサルよ!」…みけちゃんが語る、弟猫との新たな暮らし

草むらからやってきた“お客様”の仔猫は、あちこち探しても飼い主は見つからず、きっちり2週間後、あたしの弟になったの。

その頃には大きなケージ、ごはん用の食器、そしておもちゃもすっかり揃っていたから、一応あたしもおねえちゃんの心構えができていたのよ。

それにかあちゃんったら、もう名前まで考えてたの。

あたしのときと大違いだわ、ったく!

洗面所のお客様からあたしの弟ピースになったんだけど、名前は庭に咲いていたバラの品種からつけたんだって。

ミィミィ小さい声で鳴いたり、キャッキャ言いながら飛び跳ねたりしていた小さなピース。

あたし、初めてできた小さい弟をとてもかわいいと思ったの。

病気や虫の心配もなくなって家猫ピースになったんだけど、いきなりあたしたちと一緒の生活スペースではなく、まずケージのなかで過ごして少しずつ慣れていこうねってかあちゃんが言ってたわ。

出所:『25歳のみけちゃん』(主婦の友社)より抜粋
[写真2]ケージのなかのピース 出所:『25歳のみけちゃん』(主婦の友社)より抜粋

最初はね、ケージのなかで一人遊びしたりお昼寝したりしてたんだけど数日後……。

ハン、ギャーッ!!

ほんっとにものすごーーーーく大きな声で、ケージのなかを走り回り、柵をよじ登り騒ぎだしたの! 指でケージをつかんでよじ登ってたのよ。

サルよ、サル!

猫が猿をかぶる、猿が猫をかぶる!

いやもう分かんないけど、とにかくすごかったわ。洗面所にいたときは猫をかぶってたんだわ、きっと。

あたし、びっくりしちゃってその日を境にピースがいた和室に近づかなくなったの。せっかく新居に慣れてきたところだったのに。おねえちゃんになるって、結構大変なのね。
 

出所:『25歳のみけちゃん』(主婦の友社)より抜粋
[写真3]ピースに近づかないみけちゃん
出所:『25歳のみけちゃん』(主婦の友社)より抜粋

村上 しいこ

児童文学作家