どんなに順風満帆に過ごしていても、何が起こるかわからないのが人生。夫婦で月33万円の年金を受け取り、穏やかな老後生活を過ごしていた中西夫婦(仮名)も、30代の息子宛てに年金機構から届いた「赤い封筒」をきっかけに、状況が一変します。一体、中西夫婦の身に何が起きたのでしょうか? 国民年金を滞納することで起こる「リスク」と「対策」について、ファイナンシャルプランナーの辻本剛士氏が解説します。
私ら、何か悪いことしたんでしょうか…年金月33万円・70代夫婦の「穏やかな老後」が一転、家を失う事態に戦慄。元凶となった、30代息子に日本年金機構から届いた「赤い封筒」の中身【CFPの助言】
国民年金保険料の滞納は差し押さえになることも
国民年金保険料の滞納が続き、それが改善されない場合には財産を差し押さえられる可能性があることを認知していない人も多いようです。ただし、国民年金を滞納したからといってすべての人が差し押さえられるわけではありません。
滞納によって財産が差し押さえになるのは、次の条件に当てはまる人です。
・未納期間が7ヵ月以上
この2つを満たしている人が対象となります。
転職や独立当初は年間所得も少なく、収入が安定していない場合もあり、保険料の支払いが困難になることもあるでしょう。しかし、年収300万円を超えるほど所得が上がったにもかかわらず滞納が続けると、差し押さえのリスクが高まります。
国民年金を滞納→財産差し押さえとなるまでの流れ
国民年金を滞納したからといってすぐに差し押さえが実行されるわけではありません。
保険料の滞納から差し押さえに至るまでの流れは、以下のとおりです。
・特別催告状が届く(青・黄色・赤の順)
・督促状が届く
・差押予告通知書が届く
・財産(銀行口座や不動産など)を差し押さえられる
電話や書面で催告される
納付期限を過ぎても国民年金保険料が納付されない場合、年金事務所から電話や書面によって納付の催告が行われます。この時点で未納額を支払えば、とくに問題はありません。
特別催告状が届く
催告に応じず未納が続いた場合、特別催告状が送付されます。この催告状は数回にわたって送られ、封筒の色が段階的に青、黄、赤と変わる流れです。
信号のように青から赤にかけての色の変化は、事態の重大さを示しており、赤い封筒は最終警告としての役割を持っています。この段階に入ると、次の工程である督促状や差押予告通知書が届く可能性が高くなります。
督促状が届く
赤色の特別催告状が送付されたにもかかわらず、納付がなされなかった場合は督促状が届きます。この督促状には、指定された期限内に納付しなければ延滞金が発生することが記載されています。
差押予告通知書が届く
督促状を無視してさらに未納を続けると、差押予告通知書が届きます。この通知書には、最後の納付期限と、期限内に納付されなければ財産を差し押さえるという警告が含まれています。
財産を差し押さえられる
差押予告通知書の指定期限内に納付がなされなかった場合、年金事務所による財産調査が行われ、差し押さえが実行されます。差し押さえは納税義務者だけでなく、世帯主や配偶者の財産も対象となります。