(※写真はイメージです/PIXTA)

「つるたクリニック眼科・泌尿器科」は、所在地のドラッグストアコスモス中丸店の2階に2023年5月に開業されました。院長の勝久先生は泌尿器科専門医・指導医、副院長の奈津子先生は眼科専門医で、ご夫婦でクリニックを運営、地域医療のために日々奮闘されています。おふたりに、開業のきっかけや準備中の悩み、1年経過して思うこと、クリニックの特徴について伺いました。。本連載は、コスモス薬品Webサイトからの転載記事です。

開業のきっかけ…患者さんの声。初診から術後のケアまで診たい

勝久院長:大病院で勤務医をしていた当時、患者さんたちから、「泌尿器科のクリニックは少ないので、近隣にあればいいなあ」という声をよく聞いていました。それが開業に踏み切ったきっかけです。

 

奈津子副院長:わたしは大規模病院の眼科で15年間、主に目の手術を担っていました。総合病院なので患者さんと接するのは「手術だけ」ということがほとんどですが、経験を積むにしたがって、初診から検査や手術も含めた治療、手術後の経過までをフォローできる環境を作りたいと思い、クリニック開業を決意しました。

開業準備中の悩み…「コンサルタント」と「先輩の生の声」で乗り越えた

勝久院長:私も副院長も勤務医をしながら開業の準備をしていたので、自由になる時間は休日しかありませんでした。開業までは、具体的に動き始めてから1年半ほどかかりました。

 

時間も取れない状況なうえに、開業までの段取りなどわからないことばかり、やらないといけないことも山積みですし、決めるべきことがいくつもあります。

 

そのようなこともあり、開業準備は我々だけでできるものではないと考え、開業コンサルタントに依頼しました。不明点にはすぐに回答や対応策をもらえるので助かりました。ただそれでも、判断の一つひとつが適切なのかと、ときに不安になることもありました。そうしてあれこれ迷いながらも、なんとか「やるしかない」と思って取り組みました。

 

結果的に、個々の問題解決から前に進めたので、いま振り返るとコンサルタントに頼んで良かったなと思っています。

 

また、開業医の先輩に話しを聴きに伺い、リアルなアドバイスをもらえたことも印象に残っています。開業の信念や方向性の考え方もさることながら、「結局、なるようになる」と言われてほっとしたものです。ネットで情報を探すよりも、コンサルタントや先輩の生の声による情報のほうが有用でありがたかったです。

地の利とテナントを選んだメリット

勝久院長:当クリニックの所在地の名古屋市北区は副院長の出身地であり、家族で暮らす街だという地の利があります。また当初、開業物件は一戸建てをイメージしていたのですが、患者さんの来院のしやすさと認知度を優先して、縁があったコスモス薬品さんのテナントを選びました。

 

コスモス薬品さんのテナントに入ることの大きなメリットは、「買い物客や通りがかりの人に当クリニックを認識してもらえること」と、「駐車場が広くて患者さんに来院してもらいやすいこと」です。それに、バリアフリー対応でエレベーターも備えています。

 

もうひとつ、テナントの場合はスペースに限りがあると思っていましたが、意外に広く使えています。空間の清潔感はもちろん、作りたかった「患者さんのリラックスの場となる、明るくきれいな雰囲気」も実現できていると思っています。

 

奈津子副院長:眼科では治療の合間に時間が数十分かかることがあるので、その間に患者さんが1階のドラッグストアに買い物に行かれることもあります。市販の目薬からガーゼや眼帯などの医療雑貨まで揃っているので、患者さんからは「かなり便利だ」と言われます。通院に際して、このような利便性は、患者さんの生活にとって大事であると思います

開業1年…さらに幅広い知識が必要。子どもの受診が多い

勝久院長:開業から1年が経ちました。診察を重ねるにつれ、泌尿器科という専門領域に加えて、内科などの幅広い知識も必要だと痛感しています。泌尿器科は男性の患者さんが多いとイメージされているかもしれませんが、そうではなく、女性と子どもも男性と同じぐらい来院されています。それだけに、症状は多岐にわたります。今後も研鑽を積んでいきます。

 

さらに、総合病院とのかかわりはもちろん必須ですが、地域のほかのクリニックとのつながりが重要であることも実感しています。医療の幅広い知識や情報を共有し、また、専門領域以外のクリニックへ患者さんを紹介するケースなどもあるからです。

 

奈津子副院長:想定以上にファミリー層の受診率が高く、子どもの患者さんが多くなっています。眼科では、夕方は小児科に近いような状態です。待ち合いで子どもさんが退屈しないように動画を流すなど、環境についても工夫をしていきたいと思っています。

 

クリニックのPRの方法としては、近隣に看板をいくつか出し、1階のドラックストアコスモスさんのサッカー台(買物客が袋詰めをする台)にリーフレットを置いてもらうなどしています。

泌尿器科の特徴…デリケートな悩みに配慮

勝久院長:泌尿器科はデリケートな領域で、受診をためらわれる患者さんが少なくありません。当クリニックでは、女性の患者さんの場合は必ず女性のスタッフが同席し、男性の場合は私と2人で受診していただくなど、配慮をしています。

 

症状で多いのは排尿トラブルです。具体的には、年代や性別を問わず、頻尿・尿が出ない・血尿など。また、男性は尿路結石・前立腺肥大、女性は膀胱炎・過活動膀胱・尿もれ、お子さんは夜尿などです。

 

内科や婦人科でも尿検査と治療ができる場合がありますが、超音波検査や尿流量検査(尿の勢いなどを調べる検査)は泌尿器科の専門領域です。症状を繰り返したり、つらい症状が続いたりする場合は、やはり専門的な検査や治療を活用してください。

 

泌尿器科は訪れにくいという声も聞きますが、患者さんからは、「一度来てみたら、明るくて雰囲気がよかった」「次からは気楽に受診できる」とのお声を頂いています。また、眼科の受診時に雰囲気を体感していただいて、泌尿器科のほうにもお越しになるケースもあります。

眼科の特徴…涙道など日帰り手術が受けられる

もっとも多い症状は年代や性別を問わず、視力低下です。ただ、視力低下といっても原因はさまざまで、ドライアイ・白内障・斜視・加齢黄斑変性症・緑内障・糖尿病網膜症・眼精疲労などの病気があるかどうか、検査や診察で調べて治療します。

 

当クリニックの特徴として、一般のクリニックでは珍しいと思われる「涙道」(るいどう。涙の通り道)が閉塞する症状の日帰り手術を行っています。涙は通常は自然に鼻腔(びくう)へと流れているのですが、加齢などでその通り道が詰まることがあるのです。

 

すると、泣いていないのに、また、少し笑っただけで涙があふれる、目やにがひどい、細菌感染で目頭が赤く腫れる、痛むなどのつらい症状に見舞われます。「涙目」や「流涙(りゅうるい)症」とも呼ばれ、例が多い症状ではあるのですが、現状では手術で改善することを知らない方が多いのです。

 

また、「眼瞼下垂」(がんけんかすい。まぶたが下がって瞳にかぶさる)や「逆さまつげ」の治療でも日帰り手術を行っています。いずれも手術時間は10~30分で、公的医療保険適応です。私の開業の目的でもある「診察から検査、手術、術後の経過観察まで一貫したケア」を受けていただけるのが、総合病院ではなくクリニックで手術をする利点だと思います。

 

勝久院長・奈津子副院長:地域医療におけるかかりつけ医として、安心して受診していただけるよう、いつも、症状や原因、検査、治療に関してていねいな説明を心がけています。患者さまの現実を見つめ、不安に寄り添い、ともに回復を目指しましょう。

 

プロフィール

鶴田 勝久 院長
・2007年 愛知医科大学医学部医学科 卒業
・2007年 八千代病院臨床研修
・2009年 名古屋大学泌尿器科入局
      岡崎市民病院泌尿器科
・2012年 名古屋大学医学部附属病院泌尿器科
・2014年 JCHO中京病院泌尿器科
・2020年 愛知医科大学病院泌尿器科
・2023年 つるたクリニック眼科・泌尿器科 院長

 

鶴田 奈津子 副院長
・2007年 愛知医科大学医学部医学科 卒業
・2007年 名古屋医療センター臨床研修
・2009年 名古屋医療センター眼科
・2018年 眼科三宅病院兼務
・2023年 つるたクリニック眼科・泌尿器科 副院長


所属学会・資格など

鶴田 勝久 院長
・日本泌尿器科学会 専門医・指導医
・日本泌尿器内視鏡学会 腹腔鏡技術認定医
・日本内視鏡外科学会 腹腔鏡技術認定医
・da Vinci Certificate(ロボット支援手術施行資格)
・泌尿器ロボット支援手術 指導医
・日本移植学会 腎移植認定医
・日本臨床腎移植学会 腎移植認定医
・A型ボトックス療法施行資格
・緩和ケア研修会修了医

 

鶴田 奈津子 副院長
・日本眼科学会 専門医
・ボトックス治療認定医
・オルソケラトロジー講習会修了
・令和4年視覚障害者用補装具適合判定医師研修会受講修了