クリニックや病院の混雑によって診察時間の短い状態が続く昨今。この問題の一つの解決策として「町のドラッグストアを利用すること」が挙げられます。とはいえ「きちんと診察を受けたうえで処方された薬の方が効くはず」と考える人もいるでしょう。では、実際に病院で処方される薬と市販薬とでは、どれほどの効果の差があるのでしょうか。本稿では、医師の松永正訓氏による著書『患者の前で医者が考えていること』(三笠書房)から一部抜粋し、2つの薬の違いについて解説します。
効果と値段について考えてみた
市販薬は成分量が少ないと聞いて、がっかりした人も多いかもしれません。しかし風邪に関して言えば、これは何とも微妙な話です。薬の量が、医師の処方する量の半分だとしても、効果が半分という根拠もまたありません。
そもそも風邪というのは自然に治る病気です。風邪に対して風邪薬以上に効くのは、前にも述べたように「無理せず」「よく休み」「体を労り」「ゆっくりして」「疲れを残さない」ことです。風邪薬は、風邪が自然に治っていくのを手伝うくらいの役割しかありません(この辺の科学的根拠はかなり少ないです)。
また、すべての薬の成分量が二分の一というわけではありません。2011年に消炎鎮痛剤のロキソニンが市販薬ロキソニンSとして販売されるようになりました。また、2012年にはアレルギー性鼻炎の薬、アレグラが市販薬アレグラFXとして販売されるようになりました。花粉症の薬はその後も次々と市販化されています。これらの薬は医師が処方する薬と同じ成分量です。
ただ、ちょっと値段は高いです。アレグラFXをドラッグストアで買い求めると、56錠(28日分)で2,500円くらいです。しかしクリニックを受診し、医師に処方箋を書いてもらって薬局に行けば、支払いは1,200円くらいです。
ただ、これをどう考えるかはちょっと難しい問題です。というのは、クリニックの初診料と処方箋料を、3割負担で1,000円くらい払わなくてはいけないからです。