医師の松永正訓氏によると、医師の中にも二通りの人がいて、診療報酬にあまりこだわらない人と、強く執着する人がいるようです。あなたは気づかないうちに「おいしい患者」として搾取されていませんか? 本稿では、医師の松永正訓氏による著書『患者の前で医者が考えていること』(三笠書房)から一部抜粋し、診療報酬にこだわる医者を見極めるポイントについて解説します。
過剰な検査やムダな薬の処方で医療費を“余計”に取られていませんか?お金儲けに走る医者を見分ける「たった1つの方法」【現役医師が解説】
事前に検査の説明をされましたか?
患者である私自身の経験を、検査過剰の例としてあげてみます。数年前に腰の痛みで開業医の整形外科を受診したとき、医者の診察の前に腰のX線撮影をされたことがありました。受付で予診票に「腰が痛い」と書くと、半ば自動的にX線室に回されることになっているのですね。
また、目が充血して何日も続いたため(紹介状を持って)国立病院を受診したら、医師の診察前に視力検査をされました。結局、充血の理由は異物が角膜に刺さっていたことだったので、検査は何の意味もなかったと思いますし、また医師から検査結果の説明はありませんでした。
この病院は、病院の方針として売上を上げることを考えていたのかもしれません。しかし患者の側からすれば、いくら何でもそれはないんじゃないかと思います。私の周囲の患者さんも全員が流れ作業のように視力検査を受けていましたので、私の推測は多分当たっているでしょう。
検査の必要性を事前に丁寧に説明するかどうかで、その医師が診療報酬にこだわっているかどうかが分かるのではないでしょうか。
医師が収益のことを考えてしまう医療機関というのは、ちょっと残念ですよね。患者さんは医者のそういう姿勢を実はちゃんと見抜いています。持続可能で、いい医療を実現するためには、結局、医者は医療報酬のことなど考えないほうがいいと思いますし、患者さんもそういう医療機関を信頼できるでしょう。
患者さんも、「これってクリニック(病院)のカモにされてる?」と思ったときは、別のところに行ったほうがいいかもしれません。しっかりと探せば、いい医療機関はちゃんとありますよ。
- 開業医は出来高制なので、過剰検査をするクリニックは確かに存在する
- 事前に検査の説明があるか否かで見極め、疑問を感じたら別の医療機関へ
松永正訓
医師