医師の松永正訓氏によると、医師の中にも二通りの人がいて、診療報酬にあまりこだわらない人と、強く執着する人がいるようです。あなたは気づかないうちに「おいしい患者」として搾取されていませんか? 本稿では、医師の松永正訓氏による著書『患者の前で医者が考えていること』(三笠書房)から一部抜粋し、診療報酬にこだわる医者を見極めるポイントについて解説します。
過剰な検査やムダな薬の処方で医療費を“余計”に取られていませんか?お金儲けに走る医者を見分ける「たった1つの方法」【現役医師が解説】
淘汰されない「医は算術」クリニック
開業医の医療というのは基本、出来高制になっています。多くの患者を診て、多くの検査をしたほうが収入は多くなります。
一方で、勤務医は働こうが働くまいが、給料は同じという矛盾があります。勤務医に対しては、これだけ働けば給与加算がこれだけつく、というインセンティブが必要だし、開業医に対しては、検査数の上限などのキャップ制が必要だと私は考えています。
私の知人のさらに知人の内科クリニックでは、生活習慣病で通ってくる患者さんに対して毎回のように採血をするそうです。毎回の採血が必要だとその医師に反論されれば私は一言も返せませんが、そのクリニックでは自動的に採血室へ案内されるそうです。そこにいる看護師は採血係となって朝から採血を延々と繰り返しているそうです。
小児クリニックでは、採血は医師がやりますし、また子どもの採血は極めて難しいので長々と時間がかかることも珍しくありません。子ども一人に採血を行なうだけで診療がストップします。
でも、例の内科クリニックでは医師は何もしなくても採血が自動的に進んでいきますから、患者さんも多く診られて、検査数も増えて、収益はかなり多いのではないでしょうか。
それが本当に患者さんのためになっているのか軽々に論じられませんが、せめて採血をするときはその理由を丁寧に説明してから同意を得るべきではないでしょうか。