「相手の問題」と「自分の問題」も区別する

別の例を挙げてみます。オフィスで上司からこんなふうに言われたとします。「君は話すのが遅くてイライラする」これは、実際に私がかつての上司から言われた言葉です。他にも「あなたは何も考えていないね」「よくここまで生きてこられたね」などと、その上司には人格を否定するようなことを言われたことがあります。


読者のなかにも、相手から感情的な言動をされた体験をしたことがある人がいるのではないでしょうか。きっと嫌な思いをされたことでしょう。でも、自分を責めないでください。もしかしたら、その上司はどこかで嫌な思いをして、その不満を私にぶつけていたのかもしれません。あなたに感情的な言葉を放った人も、そういった情状酌量できる部分があるかもしれません。


でも、それは私やあなたではなく、相手の問題だといえます。さきほどの話であれば、「話すのが遅い」というのは「事実」だったのでしょう。もう少し踏み込んで考えるなら、内容を要領良く話せておらず、それが「遅い」と感じられたのかもしれません。だとしたら、素直に受け入れて、もう少し簡潔に伝える工夫をしたり、話をする前にメモを用意したりして淡々と改善していけば良いでしょう。


でも、「イライラする」のは、あくまで相手の感情の問題です。誰しも、自分の感情は自分で処理する必要があり、他人になんとかしてもらおうと押しつけるのは良いことではありません。つまり、言われたほうの努力で解決できる問題ではないのです。


先ほどの「LINEの返信が返ってこない」という例でも、万が一、本当にあなたを嫌って返信をしないのであれば、それは公私混同をする本人の問題ですから、あなたが他人の感情に責任を感じる必要はありません。解決をする当事者は、あなたではなくて相手なので、あなたに非がなければ無理に付き合うことはないでしょう。このように、「事実」と「解釈」を分けるのと同様に、「相手の問題」と「自分の問題」を分けることもマーケティング脳の働きなのです。


マーケティング脳を持っていれば、相手から理不尽な文句を言われても、「あなたはそう感じるんですね」と、ニュートラルな気持ちで振る舞うことができます。時間にも心の余裕にもかぎりがあります。他人の言動に振り回されてそれらを無駄にしないためにも、マーケティング脳で「いま、自分が力を注ぐべきことは何か」ということを見極めましょう。


【アドバイス】

余計な事柄に気をもまないようにしましょう