がんの影響で介護が必要になった場合は、65歳未満であっても「介護保険」を利用できます。高齢者でなくても、特定疾病に当てはまれば利用可能であることを知っている人は意外にも知られていません。そこで、介護保険で利用できるサービスや受け取ることのできる給付費について、勝俣範之氏の著書『あなたと家族を守る がんと診断されたら最初に読む本』(KADOKAWA)よりみていきましょう。
介護のために自宅を改修→20万円の補助がでることも…意外と知られていない「65歳未満でも使える介護保険」の活用術【医師が解説】
保険で利用できる介護サービス
O:なるほど。保険でどんな介護サービスを利用できますか?
勝俣:介護保険の専門家であるケアマネージャーが給付費の範囲内で利用できるサービスを組み立てたケアプランを作成してくれますから、それにしたがってサービスが受けられます。たとえば、自宅に来てもらう訪問サービスとしては、訪問介護、訪問入浴、訪問看護、訪問リハビリテーションなどがありますよ。
O:がんの療養や治療はつらいときや大変なときがありますから、介護保険で受けられるサービスなどを上手に利用して、家族も本人も少しでも気持ちよく過ごしたいですね。
勝俣:実はそうした人的なサービスだけでなく、介護保険では、安心・安全に過ごすために自宅の改修や、車いす、電動ベッドなどの福祉道具のレンタルや購入に対する補助もあるんです。
O:えっ、そうなんですか。それは助かりますね。そのための手続きはどうなっていますか?
勝俣:改修場所や方法に制限があり、利用するには地域包括支援センターやケアマネージャーを通して事前に申請する必要があります。介護サービスと同じように1割の自己負担で工事を行うことができます。住宅改修のための工事費の支給限度額は20万円となっています。この場合も、改修費が20万円を超えた場合は、その分の金額は全額自己負担になります。
O:福祉用具のレンタルや購入に関しては、どうなっていますか?
勝俣:それぞれの内容や支給限度額は、[図表1]を参考にしてください。なお、介護保険で福祉用具をレンタルする場合は、福祉用具専門相談員が訪問して点検してくれるので、体の状態などの変化に合わせて選び直すこともできて安心ですよ。
勝俣 範之
日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科
教授/部長/外来化学療法室室長