何かとしがらみの多い会社員。「自由に仕事をしたい!」などと独立する人も少なくなりませんが、現実は厳しく、年金保険料を払えないほど困窮するケースも。結局、会社員に復帰し、ほっと胸をなでおろす……しかし、年金を受け取るような年齢になってから「何かの間違いでは?」と後悔する場面に遭遇する人も多いようです。
後悔しています…日本年金機構から「赤色の封筒」が届いた〈月収35万円・40歳男性〉、25年後に知る「自分の不手際」 (※写真はイメージです/PIXTA)

自由に仕事がしたい、収入を増やしたい…脱サラの厳しい現実

――いつかは、独立したい

 

サラリーマンのなかには、そう考えている人も少なくはないでしょう。とはいえハードルは高く、実際に行動を起こすのはかなりの少数派かもしれません。なんのハードルが高いのかといえば、やはり収入。会社員時代よりも稼げるという保証はどこにもありませんし、家族がいるとなると、さらに独立へのハードルは高くなります。

 

日本政策金融公庫『2023年度起業と起業意識に関する調査』によると、起業家に「事業からの収入が経営者本人の定期的な収入に占める割合」を尋ねたところ、「100%=ほかの収入はない」34.8%。「75~100%未満」が21.6%、「50~75%未満」が11.9%、「25~50%未満」が9.5%、「5~25%未満」が14.7%、「5%未満」が7.5%でした。3割の起業家が事業による収入が全収入の半分にも満たないという厳しい状況下にあります。

 

*事業に充てる時間が35時間以上の回答者

 

そもそもなぜ起業したのか、動機を尋ねると、最多は「自由に仕事がしたかった」で41.9%。「収入を増やしたかった」35.4%、「仕事の経験・知識や資格を生かしたかった」17.9%、「自分が自由に使える収入が欲しかっ」14.6%と続きます。4割弱が収入増を目指しての起業であるものの、思惑通りにいかなかったケースは多いよう。夢破れ、再び、サラリーマンに……そういうケースも珍しくはないのではないでしょうか。

 

40歳の男性もそんな夢破れた、脱サラ組のひとり。男性の場合、業界紙を発行する新聞社から独立したあと、当分の間はフリーランスとして活動していくことに決めたといいます。業界内に知り合いも多く、何とかなるだろうと思っていましたが現実は厳しく、収入はサラリーマン時代を大きく下回ったといいます。5年ほど頑張りましたが「もう無理!」と古巣に復帰。前回会社を辞める直前の給与は月41万円。復帰した現在は月35万円と下がったものの、「やはりサラリーマン、安定が魅力」と、自身の選択を悔やんでいないとか。