スマホ1台でスイング分析
ゴルフに関する最新技術は、スマートフォンという身近なデバイスにも波及しています。たとえば2023年10月にヤマハ株式会社から提供され、注目を集めたのがスマホアプリ「PLAY SWING」。ヤマハ独自の音と映像を組み合わせた技術によって、クラブヘッドがボールを捉えるインパクトの高精度検出が可能となり、ゴルファーにとって効果的な練習方法“スイング分析”が簡単に行えるようになりました。
PLAY SWINGでは、スマホカメラで撮影・保存したスイング動画のなかからインパクトを検知。1回の撮影で複数回スイングを行っても自動的に1スイングごとの動画にわけられ、打席への移動・素振り・ワッグルなどスイング以外の不要な部分を自動的に削除してくれます。
また、スイング内の「アドレス・トップ・インパクト・フィニッシュ」の4点検知機能を搭載。ボタンをタップするだけで、簡単に各ポイントの画像をチェックすることができます。さらにアドレスからトップ、トップからインパクト、インパクトからフィニッシュまでそれぞれの時間を計測するスイングテンポ計測機能も見逃せません。テイクバックや切り返しの速さなど、自分のスイングの特徴を知るヒントになるはずです。
同アプリは、2つ並べた動画を同時再生できる「動画比較機能」も備えています。比較機能を使えば、過去の自分のスイングと現在の自分のスイングを見比べながら分析・検証する機会に。加えて「プロ動画ダウンロード機能」を利用することにより、あこがれのプロと自分を比較してスイング改善のヒントを得ることもできます。ちなみに動画再生機能については、通常速度だけでなくスローやコマ送りでの同時再生が可能。自分の体の動きをじっくり観察しながらスイング分析を行いたいという人にぴったりではないでしょうか。
もうひとつ活用したいのが「軌跡自動表示機能」。スイング中の手や頭や背骨の動きの軌跡が自動的に動画上で線になって表示されるため、自分のスイングがアドレスからフィニッシュまでどのように動いているのか一目瞭然です。
PLAY SWINGはいまのところ、iOS対応バージョンがApp Storeにて無料提供中。スマホ1台とアプリさえあれば完結するのが魅力です。
広がるスポーツテックの輪
(※提供:Trackman)
ゴルフにおけるさまざまな場面で普及しはじめている最新テクノロジー。これらは決してゴルフ界だけのものではなく、ほかのスポーツを取り巻く環境にも影響しています。
たとえばはじめに紹介したTrackman社は、ゴルフ向け製品に加え野球専用のトラッキングシステムも開発。実際2023年3月に行われたWBCでは期間中、日本代表選手たちのトレーニングにTrackman社の製品が導入されていたことが話題になりました。日本のプロ野球リーグではTrackman社によるシステムが広がりを見せ、審判員のスキル向上目的でも活用されています。
またサッカーやアメリカンフットボールといったスポーツのトレーニングにもTrackmanの技術が広がっているようです。さらに2021年に行われた東京オリンピックでは、ハンマー投げなど複数の競技でTrackman社の技術を応用。出場選手のパフォーマンスデータを解析しサポートしました。
革新的な技術が導入されることで、ゴルフをはじめとしたスポーツの世界は今後どのように変わっていくのでしょうか。進化を続けるスポーツテックにぜひ注目してみてください。
吉田 康介(フリーライター)