がん治療の過程で休職したために月々の給与が貰えないうえ、高い医療費を背負うことになってしまう人も。しかし、確定申告の医療費控除と傷病手当金の制度を駆使することで、さまざまな費用を取り戻すことができるかもしれません。医師である勝俣範之氏の著書『あなたと家族を守る がんと診断されたら最初に読む本』(KADOKAWA)より、詳しくみていきましょう。
がん治療のため休職→給与の「3分の2」が戻ってくる?…2年前に変わった〈傷病手当金〉の仕組み【医師が解説】
休職中の給与の一部がもらえる「傷病手当金」…受給条件は
O:手術などで休職すると、月々の給与がもらえませんね。
勝俣:そういうときに利用したいのが、「傷病手当金」です。これは会社員や公務員などを対象とした制度で、休職している間、1日につき、給料の日額の3分の2が支給されます。2022年には支給期間が「最長で1年6か月」から「通算で1年6か月」に変わりました。
O:支給される条件は、どうなっていますか?
勝俣:次の4つの条件をすべて満たす必要があります。
(1)業務外の事由による病気やケガの療養のための休業。これはがんによる休職だからクリアですね。
(2)仕事をすることができない。
(3)3日以上、連続して仕事ができなかった。この3日間を待期期間と呼びますが、これには有給休暇、公休日も含まれます。
(4)休業した期間に給与の支払いがないこと。ただし給与の支払いがあっても、傷病手当金の額より少ない場合は、その差額が支給されます。
障害手当金などを受給する場合は制限もあります。まずは勤務先の担当部署に確認し、加入する医療保険の窓口に支給申請書を提出しましょう。
勝俣 範之
日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科
教授/部長/外来化学療法室室長