蛋白質の不足分は、脂質と炭水化物で補おう

・エネルギー不足にならないこと、肥満にならないことに注意が必要

腎臓の悪い人は蛋白質の摂取量を抑える必要があるため、蛋白質不足になったときにはほかの方法を考えるしかありません。厚生労働省が推奨している「蛋白質20%前後の摂取」が難しい場合は、炭水化物や脂質の摂取を増やすしかないことになります。三大栄養素と言われる蛋白質、脂質、炭水化物は、身体のエネルギー源をつくるものですが、エネルギー効率だけで言えば、脂質を多くするとエネルギーを補うことができます。


炭水化物と蛋白質は、1g摂取すると4kcalのエネルギーが生成されますが、脂質は1gで9kcalと、2倍以上のエネルギーを生成してくれるからです。エネルギーを得るために効率よく摂取できるのは脂質なのですが、すぐカロリーオーバーになってしまうことも、同時に理解しておく必要があるでしょう。日本人の食生活は欧米化が進み、和食から肉食に変化してきています。脂質の摂取量増加にともなって肥満が増えてきているのは、社会問題の一つと言えますね。

・脂肪酸について、覚えておきたい3つのポイント

脂質の主な構成要素である脂肪酸は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分かれます。ここでぜひ知っておいてほしいことが、3つあります。


(1)オメガ3系脂肪酸の青魚とアマニ油は積極的に摂取
これは腎臓だけでなく、動脈硬化をコントロールすることもできる、身体にいい油なので、できるだけ摂るようにしましょう。


(2)MCTオイルは、腎機能障害でもカロリー摂取が必要な人におすすめ
MCTオイルは、中鎖脂肪酸100%のオイルです。エネルギーとしてすばやく変換されるため、体脂肪として蓄積されない特徴があります。消化・吸収が早く、カロリー補充がすぐにできるので、カロリーを多めに摂る必要がある腎臓の悪い人におすすめです。常温で、サラダなどに加えて摂りましょう


(3)オメガ6系脂肪酸はバランスよく摂取することが重要
不飽和脂肪酸のなかで、積極的な摂取が推奨されるオメガ3系脂肪酸とは異なり、オメガ6系脂肪酸とオメガ9系脂肪酸は炎症を起こす可能性があるため、積極的に摂らないほうがいいものです。オメガ6系脂肪酸には、アラキドン酸という炎症を起こしやすい要素が含まれており、血管の状況を悪くする可能性があります。オメガ6系の食品は、サラダ油、肉、卵などです。


脂質面だけで見ると身体によくないものなのですが、蛋白質を補充する観点で見ると摂取したほうがいいものなので、バランスよく摂ることを心がけましょう。