腎臓を守る万能な食材はない。偏らないように食べることが大切

・厚生労働省推奨の摂取目標量は、炭水化物50%、蛋白質20%、脂質30%

テレビ番組などで、「〇〇を食べれば腎臓がよくなる」といった情報があふれていますが、残念ながらどの病気に対しても、「これさえ食べれば健康になれる!」という万能な食材はありません。厚生労働省からは、炭水化物は50%、蛋白質は20%、脂質30%程度というように、推奨される摂取目標量が提示されています。もちろんこの基準は、万人に合うわけではありませんが、大多数の人に合うようにつくられています。


ですから、これを基準にしながら、たとえば血糖値が高い人なら炭水化物を40%や35%にとどめるといった取り組みをしたほうがいいのです。ただ、炭水化物を10%まで下げてしまうとさまざまな弊害が出てくるので、わたしはそのような指導をしていません。血糖値だけをよくするのならいいのですが、その分蛋白質や脂質の比重が大きく増えるからです。蛋白質の摂りすぎによるなれの果ては、リンの増加による高リン血症です。


高リン血症を放置すると、動脈硬化が急速に進むことになるので、極端なことをしても何かを失うことになってしまいます。だからこそ、バランスのいい食事が必要なのです。先ほどお伝えした通り、腎臓病患者の食事の摂り方はとても難しいため、残念ながら、絶対にこれを摂ったほうがいい、と言えるものはまだありません。

・身体に必要な食事をバランスよく摂ろう

3食の食事をバランスよく適量食べることがもっとも大切と言えます。とくに日本人の食事は、意識をしなければ炭水化物(お米、パスタ、ラーメン、うどんなど)に偏りがちなので、炭水化物の量を調整することが第一です。年齢、体格(身長・体重)、活動量、基礎疾患によって変える必要はありますが、厚生労働省が推奨する摂取目標量を一つの目安にして取り組みつつ、次のことに留意しましょう。


【よくないもの】
・ ファストフード、ラーメン、うどん、中華は炭水化物が多く、また塩分も多いことから避ける、もしくは減らす


・味のついた飲み物(清涼飲料水、砂糖入りコーヒーなど)を避ける


・菓子パンやお菓子を減らす


・ハム、ベーコン、ソーセージといった加工食品、インスタント食品は摂らない


・揚げ物はできるだけ摂らない


【よいもの】
・緑黄色野菜を増やす


・海草、きのこ、こんにゃくを増やす


・納豆、豆腐、卵などの蛋白質を増やす


これらは、心臓や血管によくないもの/よいものとまったく同じであることを知ってお
いてくださいね。