不動産を相続したものの、不要なので売却したいというケースは少なくありません。その際に必要となるのが登記簿謄本、すなわち、登記事項証明書です。ここでは、登記事項証明書の読み方と、相続登記における登記事項証明書の使い方を、IPAX総合法律事務所の工藤敦子弁護士、自身もFP資格を持つ、公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。
不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)とは
(40代会社員・神奈川県小田原市)
一軒家を売却する際は、土地と建物の「登記事項証明書」が必要となります。
登記事項証明書とは、登記簿謄本のことを指します。 本来は、法務局で備える登記簿を謄写した証明書のことを登記簿謄本といいますが、現在では法務局の登記簿もデータ化されているので、登記簿のデータ内容を証明する登記事項証明書が発行されています。
登記事項証明書は、全国にあるいずれの法務局でも取得可能です。その際には、土地であれば「地番」、建物であれば「家屋番号」を指定して取得します。
地番と住居表示は「まったく違う別の番号」
「地番」とは、土地一筆ごとに割り振られている固有の番号のことで、法務局が定めた住所のことを意味します。これに対して「住居表示」とは、市町村が定めた住所のことを意味します。郵便物を送る際の宛先に用いられるため、一般的に「住所」と呼ぶものは、この住居表示のことを指します。地番と住居表示は、まったく違う別の番号です。
地番を調べる際には、法務局にも置いてある「ブルーマップ」で、住居表示から地番を検索します。ブルーマップとは、住宅地図に地番情報を重ね合わせたものです。内容が青色で印刷されているため、ブルーマップと呼ばれています。
登記事項証明書を取得する方法
地番が分かれば、登記事項証明書を取得することができます。登記事項証明書は、郵送やオンライン申請でも取得することが可能です。
郵送で申請する場合は、手数料相当の収入印紙と登記事項証明書請求書、切手を貼り付けた返信用封筒を法務局に送ります。オンラインの場合は、「登記・供託オンラインシステム」のWebサイトで申請します。
登記簿謄本(登記事項証明書)の表題部・権利部とは?
登記事項証明書の内容を詳しく見ていきます。
不動産の登記簿謄本とは、その土地や建物の詳細や、所有者等の記録がまとめられた台帳のことです。登記事項証明書は、主に「表題部」と「権利部」とに分かれています。権利部は、さらに「甲区」と「乙区」に分かれていて、全体で3つの部分で構成されています。
表題部には、不動産の表示に関すること、つまり、その土地や建物の所在地・地番・面積・建物の名称が記載されています。
下段の権利部には、不動産の権利に関することが書かれていて、甲区には所有者の住所や氏名など、乙区には所有権以外の権利を持つ人の名称や住所が記載されています。
相続の際には、登記事項証明書に記載されている、所有者の変更手続きが必要です。一般的に、「名義変更手続き」と呼ばれていて、法務局で登記の申請が必要になります。
不動産をすぐに売却する場合でも、相続登記は必要?
たとえ、相続後すぐに不動産を売却する場合でも、登記が必要です。相続登記を省略して売却することはできません。不動産の売却には、相手に所有者を明示することが必要があるため、所有者の登記は必須となります。いかなる場合でも、被相続人から、相続人を飛ばして、買主へ所有権の移転を行うことはできません。
工藤 敦子
IPAX総合法律事務所 カウンセル弁護士
岸田 康雄
公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
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