亡くなった方の生命保険(死亡保険金)の請求手続き、そして相続手続きは、人生で何度も経験するものではありません。ここでは多くの人が疑問を持ちやすい保険金の請求手続きのほか、相続における保険金の扱いの基本を見ていきます。公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。
「おふくろ、ありがとう。」亡き母、長男の自分を「生命保険金の受取人」に指定していたが…保険会社への請求手続き・相続時の扱い・その他、押さえておくべき注意点【相続専門税理士が解説】
「亡き母が私を生命保険(死亡保険金)の受取人に…」
先日、母が亡くなりました。実家を整理していたところ、生命保険の保険証券を発見しました。長男である私を受取人としたものだったので、死亡保険金を受け取りたいのですが、どのようにして死亡保険金を生命保険会社へ請求すればいいのでしょうか。また、ほかのきょうだいを受取人とした生命保険はないようです。それを踏まえたうえで、注意点や手続きの方法について教えてください。
50代 会社員(蕨市)
生命保険金の受け取りは、人生で何度も経験することではありません。そのため、どういった手続きをすればいいか、迷われる方も多いでしょう。
ただでさえ相続手続きに追われているところ、生命保険の請求まで…となれば「いっそ誰かに代理申請を頼みたい!」と思われるかもしれませんが、生命保険は基本的に「受取人として指定されている方」が請求手続きをおこなう必要があります。
ただし、契約者と被保険者が異なり、契約者ではない別の人が受取人の場合は、受取人のほかに契約者も請求することも認められています。また、「指定代理請求人」が指定されている場合には、代理人が請求できる場合もあります。
相続時の生命保険(死亡保険金)には請求期限がある
死亡保険金の請求には期限があり、3年で請求権は時効で消滅してしまいます。
被相続人の死後10ヵ月以内に完了させなければいけない相続税の手続きと比べて、まだ余裕があるように思いますが、死亡保険金は相続税の課税対象であるため、契約者と被保険者が同じ人であり、受取人が相続人である場合、早急な手続きをおすすめします。
生命保険(死亡保険金)の請求に必要な書類
死亡保険金の請求手続きに必要となる書類は、被保険者に関する書類として「保険証書」「戸籍謄本または住民票の除票」「死亡診断書」などがあります。
また、受取人に関する書類としては「本人確認書類」「戸籍謄本」「印鑑証明書」、また「生命保険会社への支払請求書」も書くことになります。支払請求書や必要となる書類は生命保険会社によって違いがあるため、請求手続きをおこなう際にホームページ等で確認をしたうえで用意してください。